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2025.11.10

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ジェロントロジー

順天堂大学ジェロントロジー研究センターシンポジウム開催報告

2025年9月5日、順天堂大学本郷・お茶の水キャンパスにて、順天堂大学健康総合科学先端研究機構ジェロントロジー研究センター主催のシンポジウム「未来をデザインするジェロントロジー-学際的ネットワークの可能性-」を開催いたしました。本シンポジウムは、高齢社会における健康寿命の延伸やアクティブエイジングの推進を目的として、最新の研究成果や地域社会での取り組みを広く共有する場として企画されました。会場には84名、後日オンデマンドでの視聴に35名、合計119名にご参加いただきました。

(当日の様子)

開会にあたり、順天堂大学 代田浩之学長が挨拶を行いました。学長は、高齢化が進展する社会において、ジェロントロジー研究への多面的なアプローチの重要性を強調するとともに、その成果を社会に還元する意義について言及。また、本シンポジウムが異なる分野や世代間の新たな連携の契機となり、今後の共同研究や実践的プロジェクトにつながることへの期待を述べられました。

◆ 基調講演

「ジェロントロジー・センターへの期待-東京都健康長寿医療センターと東京大学での経験をもとに-」
東京都健康長寿医療センター 理事長 秋下 雅弘先生

秋下先生は、ジェロントロジー研究が医学にとどまらず、社会学、看護学、薬学、工学、法学など多様な分野と連携しながら発展してきた経緯をご説明され、国内外の研究体制や最新の動向にも触れていただきました。
特に、東京都健康長寿医療センター(TMIG)の歴史と役割について詳しく述べられ、臨床・研究・人材育成の三本柱を軸に、健康長寿の実現に向けた先進的な研究活動や社会還元の取り組みをご紹介いただきました。
また、自然科学系と社会科学系の両面から研究を推進する体制や最新の研究成果に触れつつ、フレイルや認知症、孤立といった社会的課題に対する地域・自治体との連携事例を示されました。そのうえで、地域や世代の特性に応じた形で研究成果を社会実装することの重要性を強調されました。

  
(秋下先生ご講演)

◆ 講演

続いて行われた講演では、順天堂大学の教員3名より、本学の取り組みや最新の研究成果の発表を行いました。

1.「文京区高齢者コホート『Bunkyo Health Study』の研究成果と今後の展開
順天堂大学国際教養学部 教授 田村 好史先生
田村先生からは、順天堂大学スポートロジーセンターを拠点に実施されている「Bunkyo Health Study(BHS)」について解説いただきました。本研究では、文京区在住の65歳以上の住民を対象に、運動習慣や代謝、筋力、認知機能などを長期的に観察しています。研究により、筋力が健康寿命に与える影響や、無症候性ラクナ梗塞との関連性が明らかになりました。さらに、中高時代の運動習慣が高齢期の健康に及ぼす効果も示され、若年期からの予防的介入の重要性が示唆されました。

2.「高齢者の歩行分析と転倒リスクの予測から見えてきた地域性〜浦安市と長野県3市町村との違い〜」
順天堂大学健康データサイエンス学部 講師 孫 哲先生
孫先生には、浦安市と長野県の高齢者を対象に行った歩行分析と転倒リスク予測の研究についてご報告いただきました。IMUセンサー(慣性計測ユニット)を活用することで、客観的なデータ収集による転倒リスク評価の精度向上を図っています。研究の結果、都市部(浦安市)の高齢者は運動習慣が豊富である一方、バランス能力が低い傾向が見られました。これにより、地域特性に応じた転倒予防策の必要性が示されました。

3.「腸内フローラと健康長寿との関わり」
順天堂大学医学部附属順天堂東京江東高齢者医療センター 教授 浅岡 大介先生
浅岡先生からは、腸内フローラが健康寿命に与える影響について、江東高齢者医療センターでの研究成果をご報告いただきました。特に、ビフィズス菌が便秘や認知機能、さらには脳の萎縮抑制に寄与する可能性があること、また、腸内フローラと筋肉量の関連(腸筋相関)にも触れ、フラボノイドを含む緑黄色野菜の摂取がサルコペニア予防に有効である可能性を指摘されました。今後は皮膚との関連や介入研究の展望についても述べていただきました。


(左から:田村好史教授、孫哲講師、浅岡大介教授)

◆ ポスターセッション

講演後、ポスターセッションが行われ、東京都健康長寿医療センターの研究者をはじめ、ジェロントロジー研究センターの研究者もあわせて、11名より自身の成果についてご発表いただきました。発表テーマは基礎研究から医療・看護・運動まで多岐にわたり、参加者との活発な意見交換が展開されました。各発表では、研究内容の社会的意義や実践への応用可能性についても議論が交わされ、学際的ネットワークの強化につながる場となりました。

(ポスターセッションの様子)

最後に、順天堂大学健康総合科学先端研究機構ジェロントロジー研究センターの内藤久士センター長より、本シンポジウムを契機に新たな共同研究や実践プロジェクトが生まれ、長寿社会の実現に向けた原動力となることの期待を述べていただき、本シンポジウムを閉会しました。

本シンポジウムは、超高齢社会における課題解決に向けた学際的なアプローチの重要性を再確認するとともに、研究成果を社会に還元するための具体的な道筋を示す貴重な機会となりました。

◆アンケート結果

アンケート結果_20250905