第32回スポーツ健康医科学研究所セミナー

2025.05.12

『骨格筋線維タイプ制御機構の解明とその応用』

日時:2025年5月9日(金)16:30~17:30
場所:さくらキャンパス3号館402号室
講師:藤田 諒先生

 

第32回スポーツ健康医科学研究所セミナーは、筑波大学医療系トランスボーダー医学研究所センター再生医学分野の藤田諒先生をお招きしました。骨格筋は遅筋 (TypeⅠ) と速筋 (Type II) に大別され、速筋はさらに発現するミオシン重鎖の種類によってType IIa、IIx、IIbに分類されます。これらの筋線維タイプは老化等に伴い変化することが報告されていますが、筋線維タイプを制御する主要な転写因子(遺伝子の発現を調節するためのタンパク質)が同定されていないことから、筋線維タイプとサルコペニアや個体老化との関係は未だ明らかではありません。藤田先生の研究グループは、2023年に最も速筋特性が強いIIb筋線維を直接制御する因子、大Maf群転写因子を世界で初めて同定することに成功しました (Sadaki et al., 2023; Sadaki et al., 2024)。本セミナーでは、大Maf 群転写因子によるType IIb筋線維制御機構の発見に加え、種を超えた大Maf 群転写因子による筋線維タイプ制御機構の可能性などの未発表データも含めて解説していただきました。講演後の質疑応答では多くの質問が寄せられ、最後まで活発な議論が行われました。最先端の研究成果に直接ふれることができ、大変貴重な学びの機会となりました。
本セミナーには、教員、大学院生、学部生等、約30名が参加しました。