第10回プログレスミーティング 静岡災害医学研究センター研究報告会

日  時:2023年7月10日(月) 16:30~17:30
会  場:順天堂大学医学部附属静岡病院 オンライン開催(Zoom)
主  催:順天堂大学大学院 医学研究科 静岡災害医学研究センター
参加人数:22名
当研究センターの研究者による、現時点での研究進捗報告会を開催いたしました。

演題1:病院前救急活動と災害時への通信機能付きスマートグラスの導入

順天堂大学医学部附属静岡病院 救急診療科
准教授 石川 浩平

石川先生
【アブストラクト】
病院前救急活動に「医療×消防×企業」が連携し通信機能付きスマートグラスを活用した本邦初の研究を行った。傷病者を救急車内収容してから病院到着までの活動中、隊員はスマートグラスを装着し病態やモニター波形、受傷部位を搬送先病院へ伝送した。本研究では通信環境の不安定さが明らかとなったが、病院前救急活動時間の短縮と院内では傷病者受け入れ体制が早期構築された。現在、通信環境を安定化させた改良版スマートグラスを用いて第2回目の研究を行っている。発災時の導入も見込んでおり、災害医療への貢献や共益性が期待される。

演題2:災害時に生じる皮膚潰瘍に対する新たな治療法開発を目指して

順天堂大学医学部附属静岡病院 皮膚・アレルギー科
教授 長谷川 敏男

長谷川先生

【アブストラクト】
災害時には各種外傷による広範な皮膚潰瘍の発生が予想される。皮膚潰瘍の新たな治療法開発を目指し、比較的容易に多量の採取が可能な脂肪組織由来幹細胞から表皮角化細胞様細胞への分化誘導法を開発した。本細胞の有効性を検証する目的で、VII型コラーゲン遺伝子変異により表皮と真皮を結合する係留線維に異常を生じて全身の表皮が容易にむける栄養障害型表皮水疱症のモデルマウス皮膚に投与した結果、水疱形成が抑制され、係留線維の発現がみられた。