第9回プログレスミーティング 静岡災害医学研究センター研究報告会

日  時:2022年6月23日(木) 16:30~17:30
会  場:オンライン開催(Zoom)
(配信場所:順天堂大学医学部附属静岡病院 )
主  催:順天堂大学大学院 医学研究科 静岡災害医学研究センター
参加人数:19名
当研究センターの研究者による、現時点での研究進捗報告会を開催いたしました。

演題1:慢性骨髄性白血病幹細胞に発現するCD26を標的とした新たな治療法の検討

順天堂大学医学部附属静岡病院 血液内科
先任准教授 岩尾 憲明

岩尾先生
【アブストラクト】
放射線災害では白血病の発症リスクがあり、慢性骨髄性白血病(Chronic Myeloid Leukemia:CML)は放射線で誘発されうる。CMLの特徴的なキメラ蛋白BCR-ABLを標的としたチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)が標準的治療であるが、TKI耐性の課題がある。そこで、CD26陽性のCML幹細胞が治療標的となる可能性を考えて、CML細胞株K562にCD26を強制発現させたCML幹細胞モデルを作製し、その特性を検討した。

演題2:ERC/mesothelinを標的とする中皮腫の治療法

順天堂大学  人体病理病態学講座
非常勤講師 梶野 一徳

梶野先生

【アブストラクト】
アスベスト曝露により発症する中皮腫は「災害」である。ERC/mesothelin(以下ERC)は上皮型中皮腫で発現しており、同分子に対する抗体療法は中皮腫の治療法として開発されている。我々のグループも抗ERC抗体が抗腫瘍効果を持つことを報告している。最近の我々の研究(Cancers 2022;14:2198)が示唆している、同抗体がもつ抗腫瘍効果の新しい機序について紹介する。また、副作用の少ない抗体治療法樹立を目的として、中皮腫に特異的なERC結合糖鎖の構造解析を行った結果も紹介する。