概要
当センターは、検査等の残余検体(試料)および臨床情報を収集・保管し、将来の医学研究、開発への活用を推進します。厳重な患者情報管理と適切な品質管理のもとで試料と情報を保存し、研究者に提供して、病気の解明や治療法・予防法の開発などの研究に支援します。活動目標は、 (1) 順天堂大学医学部附属病院の患者さんや本学職員健診受診者から収集された試料と臨床情報データベースを管理し、保存と提供に用いるシステム及び規格の標準化・統一化を図る、(2) 未来の医療に求められる新しい診断法や治療法、予防法などを開発するための革新的研究開発へのバンク資源の活用を推進する、(3) これを担う人材を育成する、ことです。臨床検体および臨床情報の積極的な利活用を進めるため、研究者の要望に応じた前向きの収集「オンデマンド型」バイオバンク事業にも対応し、研究者と診療科の共同研究を支援します。当センターは、令和5年10月1日に順天堂大学における全学的な研究支援拠点 健康総合科学先端研究機構|順天堂大学 (juntendo.ac.jp)のもとに設立されました。
センター長のご挨拶
高橋和久
医学部長・呼吸器内科主任教授
当センターは2021年10月に開設された産学協同研究講座である「バイオリソースバンク活用研究支援講座」を引き続く形で2023年10月1日に設立しました。本講座は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者さんや健診を受診した職員の残余検体などを収集し、それを研究者に活用いただいてきました。2023年末までに職員健診;15,259 検体、COVID-19;25,176 検体、細菌分離株;23,312 株を保管しています。現在では、これら検体に加えて主に消化器外科での手術検体の残余と匿名化した患者臨床情報を保管しています。これら検体や臨床情報は当然のことながら患者さん、職員に同意をいただき厳格に個人情報を保護しております。2023年末までに、基礎研究;27件、臨床研究;10件に検体を提供し35本の原著論文を報告するなど、新しい診断法や治療法の開発に資する数多くの研究結果を発信しています。当センターは、研究者の要望に応じたバイオバンク事業を実施し、研究者と診療科との橋渡しを行います。どうぞ、斬新な研究テーマを発案いただき、当センターを活用いただくことを期待しています。
5年計画
1.目的
順天堂大学バイオリソースリサーチセンター(以下 センター)は、検査、手術等の残余検体(試料)および臨床情報を収集・保管し、革新的研究開発へのバンク資源の活用を推進する。
下記の活動によって貴重な医療資源の有効利用を促進するとともに、試料および臨床情報を利用して研究を行う研究者間の連携を支援する。
- 保存・管理の対象となる試料および臨床情報を、順天堂大学医学部附属病院受診患者および本学職員健診受診者から文書同意を得たうえで収集する。
- センターにおいて試料の保存・管理に用いるシステム及び規格を標準化する。
- 未来の医療に求められる新しい診断法や治療法、予防法などを開発するための革新的研究開発へのバンク資源の活用・分譲を推進する。また、試料および臨床情報の積極的な利活用を進めるため、バンキング事業とともに、研究者の要望に応じた前向きの収集「オンデマンド型」バイオバンク事業を実施し、研究者と診療科の共同研究を支援する。
- センター内において上記リソースを活用した共同研究を推進する。
- センターの活動は、順天堂医院において開始し、後に順天堂大学医学部附属病院での活動
を進める。
2. 研究体制
センターは3研究室(バイオリソース先端研究室、生体情報システム化研究室、遺伝子解析モデル研究室)で構成され、各部門を担う若手研究者を育成する。
3. 活動計画
バイオリソースリサーチセンター 第一期
2023年10月~2028年9月(5年間)
第一期では、臨床情報を伴う臨床残余検体(がん組織試料の場合は正常検体を含む)のバイオリソースバンクとデータベースを構築し、これらの資源の利活用研究の実施基盤を構築する。また、国際競争力を有するバイオリソースリサーチセンターの運営を担う研究者を育成する。
センター事業は、順天堂医院において開始し、順次他の順天堂大学医学部附属病院に展開する。また医学部から開始し、全ての学部で活用できるものとしていく。永続的なセンター運営を想定しているが、5年毎に運営計画を立てて健全な運営を行う。
1年目(2023年10月~2024年9月)
- バイオリソースリサーチセンターの運営に関する倫理委員会申請を行い、承認を受ける。
- 試料バンキングシステムを臨床検査部、病理診断センター、情報センターと共に構築する。
- 順天堂大学医学部附属病院受診患者および本学職員健診受診者から文書同意を得たうえで残余検体(試料)バンキングを開始する。
- バイオリソースバンク活用研究支援講座と協調して研究を進める。
2年目以降(2024年10月~2028年9月)
- 厳密な情報管理システムのもとで、順天堂大学医学部附属病院、学部横断的な利用が可能な利便性を備えた検体バンクとデータベースのフレームを制定する。
- 研究開発へのバンク資源の活用・分譲(研究者の要望に応じたオンデマンド型バンキングを含む)を推進する。
- 研究者と診療科の共同研究を支援するとともに、センター内研究室においても共同研究を推進する。
- センターの各部門を担う若手研究者を育成する。