Program
開催日程 2022 年 9 月 13 日(火)〜 9 月 15 日(木)
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Day1
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01オープニング(自己紹介含む)
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02女性とスポーツⅠ
小笠原悦子 女性スポーツ研究センター センター長
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03プロフェッショナルとしてのコーチング
Marlene Bjornsrud (マーリーン・ビヨンズロッド)
米国女性コーチアライアンス 元代表 -
04女性アスリートのコンディショニング
鯉川なつえ 女性スポーツ研究センター 副センター長
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05スポーツ栄養
鈴木志保子
神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部 教授 -
06女性とスポーツⅡ
山口 香 筑波大学体育系 教授
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Day2
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07リーダーシップ&コラボレーション
Lisa O'Keefe(リサ・オキーフ)
IWG(国際女性スポーツワーキンググループ)事務局長(2022-2026) -
08思考と感情整理のメンタルトレーニング
田中ウルヴェ京
スポーツ心理学者(博士)、慶應義塾大学 特任准教授 -
09コーチのためのモチベーション戦略
Nicole LaVoi(ニコル・ラボイ)
ミネソタ大学 タッカーセンター センター長 -
10CoachDISCプログラム
Liz Masen (リズ・メイソン)
アスリートアセスメント CEO
伊藤 真紀 法政大学スポーツ健康学部 准教授 -
11CoachDISCケーススタディ
守屋 麻樹 ローレルゲート株式会社 代表取締役
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12スポーツにおけるダイバーシティ
野口 亜弥 順天堂大学スポーツ健康科学部 助教
山口理恵子 城西大学経営学部 教授
Marlene Bjornsrud(マーリーン・ビヨンズロッド)
米国女性コーチアライアンス 元代表 -
13スポーツとジェンダー
山口理恵子 城西大学経営学部 教授
小林美由紀
公益社団法人日本女子プロサッカーリーグ(WEリーグ) 理事、理念推進部 部長
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Day3
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14Navigating the Future
for Women Sports Leadersパネリスト:
Marlene Bjornsrud (マーリーン・ビヨンズロッド)
米国女性コーチアライアンス 元代表
Nicole LaVoi(ニコル・ラボイ)
ミネソタ大学 タッカーセンター センター長
Liz Masen (リズ・メイソン)
アスリート・アセスメント CEO
Lisa O'Keefe(リサ・オキーフ)
IWG(国際女性スポーツワーキンググループ)事務局長(2022-2026)
萩原美樹子
東京羽田ヴィッキーズ女子バスケットボールクラブ ヘッドコーチ
三宮恵利子
日本自転車競技連盟 副会長、女性スポーツ委員会 委員長
コーディネーター:
小笠原悦子 女性スポーツ研究センター センター長 -
15ネットワーキング
小林美由紀
公益社団法人日本女子プロサッカーリーグ(WEリーグ) 理事、理念推進部 部長 -
16 修了式・クロージング
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開催地:軽井沢プリンスホテル住所:長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢1016-87
主催女性スポーツ研究センター(JCRWS)
共催NPO 法人ジュース(JWS)、WeCOACH
協力株式会社ナイキジャパン
有限会社イノセンスグラフィック
日本水産株式会社
株式会社ネットワーク
パラマウントベッド株式会社
株式会社モペット
01オープニング(自己紹介含む)
講師小笠原悦子 女性スポーツ研究センター センター長
鯉川なつえ 女性スポーツ研究センター 副センター長
関口 晃子 女性スポーツ研究センター スタッフ
軽井沢の地で、晴天の下にスタート!
「女性リーダーアカデミー2022」は、3年ぶりに軽井沢での対面形式による開催が実現。待ちに待った軽井沢の地での開催を祝福するかのような青空の下、参加者たちは緑豊かな屋外デッキに集結し、緊張の面持ちでオープニングを迎えました。
ウォーミングアップとして恒例のアイスブレイク、続く自己紹介が終わるころには参加者たちの表情もほぐれ、これから始まる3日間への期待が高まりました。
日本スポーツ界では先駆けといえる「女性リーダーアカデミー」は、2015年からスタート。8回目となった今年は、過去最多の応募があり、初めて40名を超える参加者を迎えました。さらに参加者たちのバックグラウンドにある競技種目や所属、職種も、回を重ねるごとに多種多様なものとなっており、ネットワークを広げる場としてもバリュアブル(有益・貴重)なアカデミーがスタートしました。
02女性とスポーツⅠ
講師小笠原悦子 女性スポーツ研究センター センター長
女性スポーツの軌跡
世界で加速する“ジェンダー平等”、そして未来
アカデミー最初の講義は、小笠原センター長から。 “女性スポーツ”でどんなムーブメントが起こり、どんな経過をたどって今に至っているのかを軸に展開されました。そのキーワードとなる「ブライトン宣言」、「世界女性スポーツ会議」をはじめとした世界の流れ、さらにはアジアと日本における女性スポーツの軌跡を解説していきました。
「オリンピック・アジェンダ2020(IOC)」についても情報共有がなされ、世界では国連の活動と共に“ジェンダー平等”に向けての動きが加速しているという現状をふまえ、今後の日本には何が必要かを提案し、「その思いをこのアカデミーに託している」と参加者に訴えかけました。
03プロフェッショナルとしてのコーチング
講師Marlene Bjornsrud (マーリーン・ビヨンズロッド)
米国女性コーチアライアンス 元代表
通訳伊藤 真紀 法政大学スポーツ健康学部 准教授
リーダー・コーチも、ひとりの人間として
自分のエネルギーを高めてほしい
これまでに米国女子プロサッカーチームのGMや大学コーチを歴任し、数々のチームカルチャーをつくりあげてきたマーリーン先生は、その経験から6つの重要なキーワードを提示し、スポーツに関わるすべての職種の女性に役立つ情報について共有しました。
独特の優しい口調で語るマーリーン先生の言葉は、リーダー・コーチとしてだけでなく、一人の人間として自分に立ち返るためのヒントであり、何事にもネガティブにならず諦めない手法を手に入れた安堵感からか、参加者たちの表情は次第に和らいでいきました。「私も諦めそうなとき、『私ならできる』と自分に言い聞かせました。みなさんはいろんな方に影響を与えられる、変えられる存在だということを忘れないで。あなた方は“特別なゴールド”です」とエールを送りました。
04女性アスリートのコンディショニング
講師鯉川なつえ 女性スポーツ研究センター 副センター長
アスリートを幸せにするために
コーチに必要な知識とは
2014年に鯉川先生がアメリカで参加した米国WCAで、コーチの役割とは「勝たせること」ではなく「アスリートを幸せにすること」だとマーリーン先生から学んだというエピソードを披露し、アスリートが健康で全力で競技に取り組めるように、この講義での知識を活用してほしいという思いを伝えました。
アスリートの身体的なケアを専門スタッフが担っているアメリカと違い、システムがまだ整っていない日本だからこそ、コーチが知識を正しく身につけることが必要だとし、女性アスリートが陥りやすい3つの障害「女性アスリートの三主徴(Female Athlete Triad : FAT)」について説明しました。現場での経験から、選手のシグナルに気づくためのヒント、気づいたときの対処についても具体例を挙げ、いかにして選手のコンディショニングに役立てるかを解説しました。
05スポーツ栄養
講師鈴木志保子 神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部 教授
スポーツ現場での最新の“食”事情
スポーツ栄養を導入する意義
冒頭に、「スポーツ栄養」の定義を示し、スポーツ現場において栄養指導を導入する意義について解説しました。
食は、健康状態、アスリートにとっては競技人生をも左右するものであり、専門的な知識やエビデンスを基に個人の状況に即した栄養管理をする必要があります。オリンピアン、パラリンピアンらに指導、栄養サポートをしてこられた鈴木先生ならではのトップアスリートへの栄養マネジメントだけでなく、サプリメントの考え方、発育期での注意点、さらには現代のライフスタイルと栄養調整の仕方など、最新情報を惜しみなく伝授しました。簡単にあらゆるものが手に入る世の中だからこそ大切な、基本となる“食”について、改めて考える講義となりました。
06女性とスポーツⅡ
講師山口 香 筑波大学体育系 教授
変わりつつあるスポーツ界での男女比
今、自分に何ができるかを考え、行動
男性社会の中での“女性”というプレッシャーを感じてきた世代と、ジェンダー平等が浸透しつつある若い世代が机を並べるWCA。今なお存在するジェンダー的偏見や格差をなくすために、「それぞれの立場で何ができるのかを考える機会にしてほしい」と話し、山口先生は講義をスタートさせました。
なぜ女性リーダーを増やすことが必要なのか。JOC女性スポーツ専門部会長という責務を担い、いくつもの組織で理事を務めてこられた経験から、その必要性を説かれました。そして、リーダーになるために必要なマネジメントスキルについても例を挙げながら解説。「女性は女性の感性をもって、特徴を生かして発言するべき」と、参加者たちを鼓舞しました。
07リーダーシップ&コラボレーション
講師Lisa O'Keefe(リサ・オキーフ)
IWG(国際女性スポーツワーキンググループ)
事務局長(2022-2026)
通訳小林美由紀
公益社団法人日本女子プロサッカーリーグ(WEリーグ) 理事、
理念推進部 部長
問題解決にあたるリーダーには
強い意志と戦略が欠かせない
現役時代にラグビースコットランド代表としてプレーし、現在IWG(国際女性スポーツワーキンググループ)事務局長となった経歴を持つリサ先生は、講義の冒頭、リーダーシップとコラボレーションについて定義をし、「私がその定義に沿って進んでいたかを講義の最後に判断してほしい」と投げかけレクチャーを始めました。
<p前職であるスポーツイングランドでの実例として、リサーチによって得たデータをもとに、女性のスポーツ参加にはどんな障害があるのか、それらを解決するためのコラボレーション戦略と、結果として女性たちにもたらした変化をわかりやすく紹介しました。そして最後に、「パンデミックの後、多くの女性がスポーツから離れている今、自分が実行しなければ」という強い決意で臨んでいるというIWGでの役割についても触れ、“大きな挑戦”に勇気を奮い立たせて前進している自身の生きざまを示しました。参加者は、そんなリサ先生の姿から、多くの刺激と勇気を受け取りました。
08思考と感情整理のメンタルトレーニング
講師田中ウルヴェ京
スポーツ心理学者(博士)、慶應義塾大学 特任准教授
明日へつなげるために
ストレスコーピングのトレーニング
唯一オンラインでのレクチャーとなった田中ウルヴェ京先生の講義。ストレスコーピングとはどういうことなのか、アスリートにおけるストレスコーピングについて、専門知識、理論をもとに、わかりやすい講義をしてくださいました。
その一事例として、ご自身の現役時代から、大学院博士課程で学び昨年博士号を取得するまでの過程で、どのようなストレスがあり、どのように対処してきたのか、参加者が大いに共感できる解説がなされました。
さらに、アスリートや指導者とのやりとりなどを例に挙げ、状況や考え方の違う相手にどのように対処をしていったのかを紹介。「自身の人生にあてはめて応用していってほしい」と参加者たちに講義の実践を促しました。質疑応答では多くの手が上がりましたが、深刻な悩みを抱える参加者一人ひとりに、慎重に、丁寧に回答してくださり、心に響く講義となりました。
09コーチのためのモチベーション戦略
講師Nicole LaVoi(ニコル・ラボイ)
ミネソタ大学 タッカーセンター センター長
通訳野口 亜弥 順天堂大学スポーツ健康科学部 助教
女性が持つボトムアップするパワー
現状を整理し、パワーを充電
女性とスポーツの分野において学際的な研究を実践しているタッカーセンターのセンター長であるニコル先生は、自身の役割を説明し、その重責の中にあっても楽しんで任務を遂行していることを共有してから講義をスタートさせました。
<p研究に基づいたデータや理論の重要性について話し、それらの活用方法について解説しました。女性を取り巻くシステムの中にある様々な障害について解説したあと、システムは変えられないのではない、女性には連結して下からボトムアップするというパワーがあり、そのパワーを使って変えていかなければいけないのだと力説しました。また、女性が直面する問題として“ダブルスタンダード”を取り上げ、参加者たちが今まさに直面しているダブルスタンダードについて共有し合いました。さらに、多くの場合マイノリティとなる女性が、長期にわたる精神的負荷により陥る可能性があるバーンアウト(燃え尽き症候群)について、テニスコーチをしていたニコル先生は自らの実体験を例に挙げ、どのように自分自身をケアし、リセットすることができたかを伝えました。参加者たちにとっては、自分がなぜコーチをするのか、立ち返る時間となりました。
10CoachDISCプログラム
講師Liz Masen (リズ・メイソン)
アスリート・アセスメント CEO
伊藤 真紀 法政大学スポーツ健康学部 准教授
自己を知り、他者を理解するために
DISCプログラム活用術を学ぶ
コーチの行動特性を分析するプログラム「CoachDISC」。リズ先生は、まず、CoachDISC のもととなっているDISCモデル理論が、どのような研究によって開発されたのかをレクチャーし、コーチのために利用することになった経緯と意義について解説しました。さらに、DISCプログラムは、リーダーやコーチが他者をリードするときに重要となる自己理解につながることはもちろん、他者を理解するためにも利用できることに言及しました。
その後、参加者たちは簡単なアクティビティを通して、ある結果を得る(他者にある行動をしてもらう)ためには、様々なアプローチ方法があること、 “どうしたら成果を得ることができるか”を考えることを実践で学びました。
最後に、リズ先生は「違いがある人たちがもたらす価値を尊重したり、その価値を見出すことが大事」と語り、多様性が重視される現代にこそ、DISCプログラムの活用が有効であることを再認識しました。
11CoachDISCケーススタディ
講師守屋 麻樹 ローレルゲート株式会社 代表取締役
選手のために
様々なケースを考え、行動する
チームビルディングの研究、チームサポートを行っている守屋先生は、東京2020大会でサポートした実例を挙げ、チームとしてベストパフォーマンスを生みだすことの難しさや課題、成果を振り返りました。大切なことは、相手(選手)の行動スタイルによってフィードバックの仕方を変えたり、伝える際のポイントをどこに置くかであり、その手法の選択によって効果が全く異なることを説明しました。
続いて、CoachDISCプログラムの講義で学んだことを現場で活かすための演習として、参加者たちはグループに分かれ、様々なケースについて意見を出し合いました。3年ぶりの対面形式となった今回は、グループディスカッションの成果を発表する際、守屋先生が選手役となってグループの代表者とまさに実演を行うというスタイルが久々に復活。グループの代表者は、選手の成長のためにはどのように伝えてあげるべきかを思案しながら、必死に演じ切りました。それに対して他の参加者が的確に賛辞や意見を述べていくうちに、会場がチームのようにひとつとなりました。
12スポーツにおけるダイバーシティ
講師野口 亜弥 順天堂大学スポーツ健康科学部 助教
山口理恵子 城西大学経営学部 教授
Marlene Bjornsrud (マーリーン・ビヨンズロッド)
米国女性コーチアライアンス 元代表
世界と日本のスポーツ界における
ダイバーシティの現状
この講義ではまず、「LGBTQ+(プラス)」、さらには人の性を構成する要素である「SOGIE(ソジー)」を知り、性の多様性をどのように理解し、行動したらいいのかについて学びました。また、アメリカでLGBTQ+のユース年代をサポートする団体が作成したという、性のアイデンティティをグラフ化できる「ジェンダーユニコーン」についても紹介し、理解を深めました。世界における動向についても情報共有され、世界女性会議や国連の見解、今後の課題などが解説されました。
スポーツ現場においてSOGIEの権利が保障されていない場面があることも紹介。東京2020大会では、オリンピック史上カミングアウトしているアスリートの人数が最多であったにも関わらず、日本人アスリートは0人で、SOGIEの権利が守られていなく安心できない日本のスポーツ界の実情が伝えられました。
野口先生は、講義を通し、多様な性のアイデンティティを理解し、尊重することの大切さを訴えかけました。参加者にとっては、この問題をより現実的に、身近なこととして考える機会となりました。
最後に、当事者の心の痛みを体感し、理解を深めるために、山口理恵子先生によるワークが行われました。
13スポーツとジェンダー
講師山口理恵子 城西大学経営学部 教授
小林美由紀
公益社団法人日本女子プロサッカーリーグ(WEリーグ) 理事、
理念推進部 部長
ジェンダーという問題を
多角的な視点から学び、考える
山口理恵子先生は、日本の政策の中では、ジェンダーの問題を「女性活躍」と置き換えられることも多いとし、まずは、女性に関する法律や政策を紹介、またその狙いについて解説しました。そして、ジェンダーの問題=女性対男性ということではなく、システム(構造)自体に問題があると説きました。
続いて、スポーツ界におけるジェンダー問題として、女性の身体活動を妨げてきた歴史とその背景、ハラスメントについてレクチャーしました。近年、問題が可視化してきた盗撮・性的画像露出やセクシュアルハラスメントの被害についても情報共有。それらがスポーツ現場で起こらないよう対策を講じることの重要性、起こったときの対応についても言及しました。小林美由紀先生から、実例として、実際にスポーツ界で起こったセクシュアルハラスメントの事例が紹介されました。
「ジェンダー」とは何か、コンセンサスを得ることが難しくなっている昨今、改めてジェンダーという問題について考える機会となりました。
14Navigating the Future
for Women Sports Leaders
講師Marlene Bjornsrud, Nicole LaVoi
Liz Masen, Lisa O'Keefe
萩原美樹子 東京羽田ヴィッキーズ女子バスケットボールクラブ ヘッドコーチ
三宮恵利子 日本自転車競技連盟 副会長、女性スポーツ委員会 委員長
コーディネーター小笠原悦子
通訳小林美由紀、伊藤 真紀
WCAというスピリッツを共有する仲間として
先輩から贈られるメッセージ
冒頭、コーディネーターの小笠原センター長は、参加者それぞれにこの場にいる感想を求め、その言葉に耳を傾けました。聞き終えた小笠原センター長は、自らが4人の外国人講師たちと再会した時に感じる心が解き放たれる感覚や、米国 WCAで味わった安全な空間を、参加者たちにも感じてもらえていることに対して、感謝を述べました。
続いて、今回パネリストとしてお迎えしたWCA1期生の三宮恵利子さんにマイクが渡されました。スピードスケート日本代表として2度のオリンピックに出場、日本選手団の旗手も務められた経験をもつ三宮さんは、現在、日本自転車競技連盟副会長、日本スケート連盟強化部選手アドバイザリーボード代表として奮闘しています。これらの役職に就かれたのは、すべてWCA修了後であり、WCAでどれだけの勇気とパワーをもらったか、切々とその経緯と今を語りました。また、2児の母でもある三宮さんは、子育てと仕事の両立の極意、アドバイスを惜しみなく語り、力強いエールを贈りました。
もう一人の日本人パネリスト、WCA3期生の萩原美樹子さんは、日本人初のWNBAプレーヤーとして活躍され、引退後はアンダー世代の日本代表コーチとして手腕を振るい、現在はWJBL東京羽田ヴィッキーズのヘッドコーチとして指揮を執られています。WCA同期とは今でも繋がっており、そのネットワーク・情報共有が萩原さんのコーチングを支えてくれたことを披露しました。また、バスケットボール界は比較的男女差が少ないと言われているが、優勝賞金の格差、コーチの男女比の課題は依然として存在しており、その差を当たり前に思わずに、WCAで学んだ我々が少しずつ声を挙げていくことが重要だと語りました。
さらに、4人の外国人講師からは、今回のアカデミーでなにを感じたのかが語られました。その光景は、講義の時とは違い、同じ時間を共有している仲間に語りかけているような、あたたかな空気に包まれました。
質疑応答の時間も設けられ、寄せられた多くの質問に対し、パネリストたちは自らの経験やアドバイスを惜しみなく伝授し、参加者に勇気とパワーを与えました。
15ネットワーキング
講師小林美由紀
公益社団法人日本女子プロサッカーリーグ(WEリーグ) 理事、
理念推進部 部長
スポーツ界発展のためにできること
私たちの「軽井沢宣言2022」
開幕から1年経過した「.WEリーグ」。理念推進部長を務めている小林美由紀先生は、プロリーグとなって変化したこと、WE(ウーマンエンパワーメント)リーグとして行った新たな取り組みなどについて解説しました。世界のサッカー界におけるジェンダー平等の流れについても紹介。また、WEリーグの理念を表現したイラストを見せながら、自分の描くビジョンを視覚化することは意味のあることだと述べました。
そして、スポーツ界の発展のためにWCA2015で生まれた「2020年に向けての軽井沢宣言」について触れ、少しずつではあるが実現に近づいていることを共有すると、参加者に向け「今回はみなさんの番です!」と促しました。それぞれが「私の軽井沢宣言2022」を公言すると、仲間たちは大きくうなずきながら拍手でエールを送りました。
小林先生は、参加者が勇気をもって宣言をしたことに賛辞を贈り、「外に出たときに、この勇気を思い出して」とエールを贈り、最後の講義を終えました。
16修了式・クロージング
思いを共感できる仲間ができた喜びを
絆を固く結んだ感動のフィナーレ
修了式では、参加者の投票で決まる『ベストリーダー・コーチ賞』が発表され、選出された渡邊千穗さんには、三宮恵利子さんより記念の盾が、「8期生の灯台のような存在になってください」という言葉とともに贈られました。
続いて、講師たちから参加者に向けて心温まるメッセージが贈られ、参加者一人ひとりに、WCA修了証が授与されました。
最後に、小笠原センター長は「みなさんとWCAの仲間としてつながれたことを嬉しく思います。良いときも悪いときも気持ちをシェアできる仲間がいることがどれだけ力になるか。だからこそ、どうぞこの仲間とつながってください」と語り、大きく広げた腕の先には、WCA8期生、講師、修了生、スタッフの笑顔がありました。
久しぶりに目と目を合わせ、同じ空間で言葉をかけあえるという環境で実施された「女性リーダーアカデミー2022」は、これまで以上に多種多様なバックボーンをもつ女性たちを強く結びつけ、幕を閉じました。