Program
開催日程 2023 年 9 月 12 日(火)〜 9 月 14 日(木)
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Day1
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01オープニング(自己紹介含む)
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02女性とスポーツⅠ
小笠原悦子 女性スポーツ研究センター センター長
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03プロフェッショナルとしてのコーチング
Marlene Bjornsrud (マーリーン・ビヨンズロッド)
米国女性コーチアライアンス 元代表 -
04ダイバーシティとインクルージョンの意義と促進方法
羽石 架苗 ウエスタン・コロラド大学 准教授
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05女性とスポーツⅡ
山口 香 筑波大学体育系 教授
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06リーダーシップ&コラボレーション
Lisa O'Keefe(リサ・オキーフ)
IWG(国際女性スポーツワーキンググループ) 事務局長(2022-2026) -
07女性アスリートのコンディショニング
鯉川なつえ
女性スポーツ研究センター 副センター長
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Day2
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08スポーツ栄養
鈴木志保子
神奈川県立保健福祉大学大学院保健福祉学研究科 研究科長 -
09思考と感情整理のメンタルトレーニング
田中ウルヴェ京
スポーツ心理学者、博士(システムデザイン・マネジメント学)、慶應義塾大学 特任准教授 -
10コーチのためのモチベーション戦略
Nicole LaVoi(ニコル・ラボイ)
ミネソタ大学 タッカーセンター センター長 -
11CoachDISCプログラム
Liz Masen (リズ・メイソン)
アスリートアセスメント CEO
伊藤 真紀 法政大学スポーツ健康学部 准教授 -
12CoachDISCケーススタディ
守屋 麻樹 ローレルゲート株式会社 代表取締役
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13スポーツとジェンダー
山口理恵子 城西大学経営学部 教授
小林美由紀
公益社団法人日本女子プロサッカーリーグ(WEリーグ) 業務執行理事
Marlene Bjornsrud (マーリーン・ビヨンズロッド)
米国女性コーチアライアンス 元代表
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Day3
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14Navigating the Future
for Women Sports Leadersパネリスト:
Marlene Bjornsrud (マーリーン・ビヨンズロッド)
Nicole LaVoi(ニコル・ラボイ)
Liz Masen (リズ・メイソン)
Lisa O'Keefe(リサ・オキーフ)
羽石 架苗
小林美由紀
山口理恵子
伊藤 真紀
守屋 麻樹
コーディネーター:
小笠原悦子 -
15ネットワーキング
小林美由紀
公益社団法人日本女子プロサッカーリーグ(WEリーグ) 業務執行理事 -
16 修了式・クロージング
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開催地:軽井沢プリンスホテル住所:長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢1016-87
主催女性スポーツ研究センター(JCRWS)
共催NPO 法人ジュース(JWS)、WeCOACH
協力有限会社イノセンスグラフィック
NPO法人スポーツウエイヴ九州
株式会社ニッスイ
株式会社ネットワーク
パラマウントベッド株式会社
株式会社モペット
花王株式会社
ユニ・チャーム株式会社
01オープニング(自己紹介含む)
講師小笠原悦子 女性スポーツ研究センター センター長
鯉川なつえ 女性スポーツ研究センター 副センター長
関口 晃子 女性スポーツ研究センター スタッフ
「女性リーダーアカデミー2023」
今年は午前からスタート!
アカデミー開催9回目にして初めて、初日の午前から講義を始め、講義時間を増やした構成に。秋の気配を感じる軽井沢の会場には、今年も全国各地から25名の参加者と、10名のWCA修了生が集結しました。
毎回恒例のウォーミングアップとなっているアイスブレイクの時間は、参加者のボルテージがこれまでにないほどに上昇。自己紹介の内容に、参加者同士が共感しあったり、前のコメントに被せることで笑いを誘うなど、早くも会場にはたくさんの笑顔があふれ、すっかり緊張がほぐれたところで最初の講義を迎えました。
02女性とスポーツⅠ
講師小笠原悦子 女性スポーツ研究センター センター長
女性スポーツの軌跡と未来
最初の講義はアカデミーのイントロダクションとして、小笠原センター長から女性スポーツのムーブメントと、そのバックグランドについて説明がなされました。
女性スポーツの歴史の中でも特筆すべきトピックとして、昨年5月にアメリカの女子サッカー界が長年戦ってきたイコール・ペイを勝ち取ったことを挙げ、これまで泣き寝入りしていたような不公平な出来事を許さないという風潮が世界的に起こっていると話しました。
また、IOCがジェンダー平等を推進する中、東京2020前には遅れを取っていた日本でも女性スポーツに関する取り組みが加速してきた過程を紹介。さらに本アカデミーの目的や意義についても触れ、新しいスポーツ文化を創造するために「ぜひいろいろな人とつながり、力を伸ばしていっていただきたい。そのためにWCAがある」と参加者に語り、3日間のアカデミーをスタートさせました。
03プロフェッショナルとしてのコーチング
講師Marlene Bjornsrud (マーリーン・ビヨンズロッド)
米国女性コーチアライアンス 元代表
通訳伊藤 真紀 法政大学スポーツ健康学部 准教授
女性リーダー・コーチにとっての「アンカー」の必要性
今年70歳になったというマーリーン先生は、これまでの人生を振り返り、自分には「アンカー」があったからこそ、女性スポーツの中で成功できたのだと語り始めました。スポーツはときに嵐のように大変なことがある、その例としてFIFA女子ワールドカップの常勝チームであったアメリカ代表が今大会敗北を喫したことを挙げ、そんな難しいときこそ「アンカー=とどまらせてくれるところ」が必要なのだと説きました。
様々なキーワードを提示しながら、穏やかに語りかけ、スポーツ界で奮闘する女性たちに気づきを与えていくマーリーン先生。
チームカルチャーについて学ぶ場面では、フロア後方で聴講しているWCA修了生に問いかける場面も。そこで修了生たちがWCAに感じる“安心感”、戻ってくることの意義を前向きに語る姿を受け、「これがアンカーです。ここにいる理由は支えあうため。これが始まりです、ここから何年も何年もつながっていきましょう」と、参加者たちに愛ある言葉とともに伝えました。
04ダイバーシティとインクルージョンの
意義と促進方法
講師羽石 架苗 ウエスタン・コロラド大学 准教授
スポーツから、ダイバーシティ&インクルージョンは推進できる
今回からWCA講師としてお迎えした羽石先生は、日米でサッカー選手として活躍したのち、アメリカの大学女子サッカー界で日本人女性初の監督として13年間指導。小林美由紀先生とともに進める日米女子サッカーの架け橋的存在「ブリッジ」での活動のほか、2011年コソボ共和国女子サッカーに関するプロジェクトなど国際的な活動も数々行なっていらっしゃいます。
今回の講義では、ダイバーシティ&インクルージョンについて、これまでの経験などから、具体的にどう推進していけばよいのか、最新のインクルージョンについての考え方も交えながら、惜しみなくレクチャーいただきました。
現在住んでいるアメリカでは、女子サッカーが勝ち取ったイコール・ペイによって、スポーツ界以外でも女性たちが行動を起こし始めていることを共有。「スポーツ界にいる私たちがインクルージョンやダイバーシティを進めて変えていくことによって社会の変化につながる。スポーツは社会を変える力があるのです」と力説し、参加者にエールを贈りました。
05女性とスポーツⅡ
講師山口 香 筑波大学体育系 教授
スポーツで活躍する女性の増加は
子供たちの未来
JOC理事、JOC女性スポーツ専門部会長などを歴任した山口香先生による講義では、日本のスポーツ界で女性が活躍するためには何が必要か、JOC女性スポーツ専門部会での取り組みや期待されるリーダーシップなどについて情報が提供されました。
柔道界においてリーダー的立場に立ってこられた山口先生は、ダイバーシティ&インクルージョンやジェンダーに関して、「総論的には賛成と言ってくれる時代になったが、各論ではまだそうはいかない」と話し、変革の難しさ、これからの未来を背負う若い世代にどうつなげるかを、講義を通して伝えました。
そして、今夏のバスケットボールやラグビーW杯を見た子供たちが「世界、恐るるに足らず」と感じたように、「スポーツで活躍する女性が増えれば、必ず子供たちの未来に影響がある」と語り、そのためには何をすべきかを考えて行動してほしいと参加者たちを鼓舞しました。
06リーダーシップ&コラボレーション
講師Lisa O'Keefe(リサ・オキーフ)
IWG(国際女性スポーツワーキンググループ)
事務局長(2022-2026)
通訳羽石 架苗 ウエスタン・コロラド大学 准教授
ビジョンに向かって仲間をモチベートする
昨年からIWG(国際女性スポーツワーキンググループ)事務局長となったリサ先生は、自国イギリスにおけるスポーツ参加のジェンダーギャップグラフを示し、「This Girl Can」の説明に入りました。
前職スポーツイングランドが2015年に実施した、女性のスポーツ実施率向上を推進する「This Girl Can」。世界110か国以上で大きな話題となったこのキャンペーンが成功した要因は何だったのか、イギリス国内での行動変化など、データを交えながら説明。この時にリサ先生が取ったリーダーシップとコラボレーションについても解説しました。
また、2026年のIWG会議をイギリスに誘致した目的、事務局長として描くビジョンとそれを成し遂げるために実施している数々のコラボレーションについても紹介。自身がリーダーとして大切にしていることを伝えながら、参加者にも「勇気をもって自分の持っているものをシェアしてほしい。そして、仲間をつくり、一緒にビジョンに向かってモチベートすることがリーダーの仕事」と説きました。
07女性アスリートのコンディショニング
講師鯉川なつえ
女性スポーツ研究センター 副センター長
健康な状態で、全力で競技に打ち込める
コンディショニングの極意
現役コーチでもある鯉川先生は、女性アスリートを「健康な状態で、全力で競技ができるようにすること」がコーチの仕事だと話し、研究エビデンスに基づいた情報に加え、指導現場での実体験を交えて講義を進めました。
女性アスリートが陥りやすい「FAT(Female Athlete Triad; 女性アスリートの3主徴)」について、知ってはいても選手にしっかり説明できる人はまだ少ないのが現状だが、日本ではコーチが知識を持っておく必要があることをまずは説明。そして、FATとはどういうものなのか、さらには早期に気づくためのスクリーニング方法など、選手をFATから守るためのコーチの役割を共有しました。
08スポーツ栄養
講師鈴木志保子
神奈川県立保健福祉大学大学院保健福祉学研究科 研究科長
スポーツ栄養学で、自身のパフォーマンスを維持する
コンビニの普及などによる食環境の変化、食事に対する考え方も激変している昨今、いかに食べて健康を維持していくかが身近な問題となってきている。そんな時代に、健康になるためや自分の思い通りに生きるために、「栄養で、どう自分のパフォーマンスを維持していくか」という考え方の導入を提唱しているのがスポーツ栄養学と説いた鈴木先生。
毎食バランスよく食べるという基本的な考え方から、アスリートの栄養摂取、さらにはジュニアアスリートにおけるエネルギー摂取の考え方まで、幅広く講義を展開しました。
特に今回は、ジュニア期のエネルギー不足が発育発達に及ぼす影響が大きいことを取り上げ、年齢によってではなく発育段階にあわせた考え方が大切であり、運動量の調整も必要になると解説。アメリカではすでに成長期では1週間の運動時間が決められていることも紹介し、個人の成長度合いを、ツールを用いて確認しながら、指導していく必要性を訴えました。
09思考と感情整理の
メンタルトレーニング
講師田中ウルヴェ京
スポーツ心理学者、博士(システムデザイン・マネジメント学)
慶應義塾大学 特任准教授
心にストレスがかかることで、何かを学ぶ
トップクラスのアスリートとしての実績を持ち、現在は幅広いアスリートに対してメンタルトレーニングを実施している田中ウルヴェ京先生により、ストレスコーピングについて解説がなされました。また、アスリートにおけるストレスコーピングの目的を明らかにし、コーピングの具体的な方法もレクチャーしました。
さらに、京先生自身の人生の節目に起こったストレスと、どうコーピングしたのかを紹介し、すべて話し終えたところで「ぜひみなさんも、自分はどうコーピングしてきたのか、振り返ってみてください。きっといろんな宝物を持っていると思います」と投げかけました。
筋トレで筋肉にストレスをかけるのと同様に、心にストレスがかかることで何かを学ぶ。メンタルをトレーニングすることで成長していくアスリートを、数々の現場で目の当たりにしてきた京先生の講義は、参加者たちの新たな気づきの時間となりました。
10コーチのためのモチベーション戦略
講師Nicole LaVoi(ニコル・ラボイ)
ミネソタ大学 タッカーセンター センター長
通訳羽石 架苗 ウエスタン・コロラド大学 准教授
データを用いて、変化を起こす
アメリカにおける女性スポーツ研究センターのような存在、ミネソタ大学タッカーセンターは今年設立30周年。現在、センター長を務めるニコル先生は、これまでの研究成果・データを参加者に惜しみなくシェアしながら、データを示すことがなぜ重要なのか、さらにはデータを使っていかに変化を起こすかについて講義を行いました。
同じことをしても違う評価やルールになる、いわゆるダブルスタンダードについて、参加者同士で経験を共有しあい、今あるシステムが女性にどう影響しているかについて理解を深めました。そして、自分たちがこのようなシステムの中にいるのだということを理解し、どのようにサポートしあっていくかを考えることが、このアカデミーの存在理由の一つと語りました。
最後にニコル先生は、初めてコーチとして指導したときの写真を披露。壁にぶつかったときには原点に立ち返り、なぜこの仕事をしているのかを考えるのだと話し、自分がいつもやっているという“パワーポーズ”を伝授しました。みんなで「I Have Power!」と叫びながらそのポーズをとっていくと、会場には大きなパワーがみなぎりました。
11CoachDISCプログラム
講師Liz Masen (リズ・メイソン)
アスリート・アセスメント CEO
伊藤 真紀 法政大学スポーツ健康学部 准教授
「行動」は、観察でき、気づき、変えられる
プロや代表チーム、大学生からキッズ世代まで、幅広いクライアントを持つアスリート・アセスメントでCEOを務めるリズ先生は、講義を受ける参加者に対し、「あなたのCoachDISCプロファイルリポートは、単なるあなたの結果ではありません。DISCを使って自分自身を理解できると、他者を理解できるようになります」と伝えました。
DISCが表すのは、性格や人となりでなく「行動」スタイル。行動は観察ができ、気付くことができる。そして、行動は変えられる。「選手に『性格を変えなさい』とは言えないけれど、目的を達成するために『行動やアプローチを変えてみましょうね』と言うことはできるでしょう」とリズ先生。
また、DISCを周りのスタッフと共有することで相互理解が深まり、チームの人間関係も円滑に。さらにコーチングでは、相手の行動からDISCタイプを見極め、求められるコーチ像に自分を適応させることでチームを最善の方向へと導くこともできるなど、DISCの活用意義を解説していきました。参加者たちはこの講義を通し、様々な人間関係において“行動”を観察し、理解することの重要性を感じ取りました。
12CoachDISCケーススタディ
講師守屋 麻樹 ローレルゲート株式会社 代表取締役
相手の成長を促すために、どのように伝えるか
リズ先生の講義でDISCを理解したあとは、より具体的に現場で使えるよう、適応力を高めるための時間として、守屋先生による実践的な講義が行われました。
まずは、様々な行動スタイルを持つ選手に対して、フィードバックをするときのポイントについて、レクチャーがありました。フィードバックとは、観察した結果を伝えることで、相手に現状と向き合ってもらえるような気づきを提供し、相手の成長を促すことを目的としたもの。そのためには、どのように伝えると相手は受け入れやすいのか、CoachDISCが示すタイプ別に具体的なスキルが伝授されました。
後半では演習として、様々なケースにどう対応するかをグループに分かれてディスカッションしていきました。グループでの成果を発表する場面では、守屋先生が選手役となり、コーチ役となった参加者がフィードバックを行うと、それに対して他グループからも様々な意見や共感の声が聞かれました。「DISC」を念頭にいろいろなケーススタディを体感した参加者たちは、現場で活用するためのベースを体得できたようでした。
13スポーツとジェンダー
講師山口理恵子 城西大学経営学部 教授
小林美由紀
公益社団法人日本女子プロサッカーリーグ(WEリーグ) 業務執行理事
Marlene Bjornsrud (マーリーン・ビヨンズロッド)
米国女性コーチアライアンス 元代表
女性だけの問題ではなく
社会の構造の問題として考える
講義冒頭、山口先生は、「ジェンダー」という言葉についてどう捉えているのかを参加者に問いかけました。「ジェンダー」は国際的な言葉ではあるものの、日本では使われない時代があったり、「ジェンダー平等」を「女性活躍」や「男女共同参画」などの言葉に置き換えられたりと、かなり複雑な概念であると説きました。そこで、まずは日本におけるジェンダーに関するトピックを整理し、世界のジェンダー問題、女性の身体活動について、時代背景やスポーツ界の出来事を紹介しながら振り返りました。さらに、ジェンダー・イクオリティとエクイティの違いについても解説。ジェンダーを考えるときに、女性だけの問題ではなく、社会の構造の問題として考える必要があると説きました。
セクシュアルハラスメントについても事例を紹介し、加害者、組織の構造、二次被害など様々な角度から問題点を明らかにしました。
講義終盤には、LGBTQの問題を心で感じるためのワークを実施。神妙な面持ちの参加者たちに向け、山口先生は「ジェンダーやセクシュアリティの問題に敏感になり、引き続き考え続けてほしい」と締めくくりました。
14Navigating the Future
for Women Sports Leaders
パネリストMarlene Bjornsrud, Nicole LaVoi
Liz Masen, Lisa O'Keefe,
羽石 架苗、小林美由紀、山口理恵子
伊藤 真紀、守屋 麻樹
コーディネーター小笠原悦子
仲間とともに得た学びを、未来へ
Navigating the Future for Women Sports Leadersは、アカデミーでの学びを、未来に向けて活かすためのセッション。これまでとは違った趣向での実施となりました。
コーディネーターを務める小笠原センター長は、冒頭、このセッションの意味を「まさにタイトルの通り、将来に向けてのナビゲートとなるようなセッションにしたい」と説明。今年7月に福岡で行われた「世界水泳選手権2023」において、日本人コーチとしてアーティスティックスイミングのスペイン代表チームを見事優勝に導いた藤木麻祐子さんのコーチングポリシーを紹介しました。藤木さんと小笠原センター長とは30年来のご縁があり、これまでのエピソードや動画を披露してから、彼女からのWCAに向けたメッセージを視聴しました。
参加者の参加理由は、コーチングを学ぶため、自分を変えるためなど、様々でしたが、アカデミーに参加した今の思いをそれぞれ吐露すると、会場は、同じ思いを持つ仲間とつながれたという安心感に包まれました。
講師たちは、講義では語られなかった自身のキャリアでの挫折やどう乗り越えてきたかを惜しみなくシェアし、未来へ進むうえでのヒントとなる言葉を、愛をもって伝えました。そして口々に、参加者から得られた気づきや学びに感謝を述べ、マーリーン先生は「スポーツは多くの場合、勝敗によって価値を決められますが、ここでは、みなさんがみなさんのまま、受け入れられています。WCAは愛が溢れている場所」と語り、会場全体があたたかなオーラに包まれました。
15ネットワーキング
講師小林美由紀
公益社団法人日本女子プロサッカーリーグ(WEリーグ) 業務執行理事
「I Have Power !」「We Have Power !」
小林先生はまず自身が身を置くサッカー界のトピックとして、今年3年目を迎えるWEリーグ(日本女子プロサッカーリーグ)における女性指導者や女性トレーナーの現状、FIFA(国際サッカー連盟)による「女性のためのヘルス&エクササイズプロジェクト」などをシェアし、セッションに入りました。
この時間では、WCA参加前の自分と、参加した今の自分ではどのような変化が生じたのか、それによってどんな行動を起こすのか、その契機となったセッションや言葉を思い出しながら、自分と向き合いました。
最後に、ニコル先生のカウントダウンに合わせ、全員でパワーポーズを取りながら「I Have Power !」「We Have Power !」と絶唱。会場全体にパワーが溢れ、前に進もうとしている参加者たちの背中を力強く押しました。
16修了式・クロージング
「これからがスタート。つながっていきましょう!」
最後のセッションとなる修了式では、すべての参加者によって選出された「ベストリーダー賞」が発表されました。受賞したのは、講義中も随所で仲間をけん引した北田千尋さん。プレゼンテーターの山口理恵子先生から盾が贈られると、北田さんは盾を高々と掲げて喜びを表現。そんな彼女の明るく引っ張ってくれるパワーを参加者たちは称え、祝福の大きな拍手が沸き起こりました。
そして、3日間にわたって参加者を見守った講師たちから、これからはばたく参加者に向けて力強いエールが贈られました。 続いて、WCA全過程を修了した参加者たちに、小笠原センター長より修了証が授与されました。その横に並ぶ講師とのコミュニケーションスペースでは、昨年は感染症対策の観点から互いに控えていたハグも今年は復活し、講師との絆をしっかり感じることができました。
3日間の締めくくりとして、小笠原センター長から、仲間となった9期生に向け、「WCAは講師でもこの場にいたい、戻ってきたいと思えるような場所であり、参加してくれたみなさんがそのムードを醸し出してくださっている」と感謝の思いが伝えられました。
そして、2015年からの9年間で275名という信じられないほどたくさんの仲間が増えていることを告げ、「まずは9期という仲間のネットワークを強固に持ってほしいし、さらにこれまでの修了生たちともぜひつながってください。そうすればもっともっといろんなことができます」と、WCAでできた縁を活用することで、ますますパワーアップしてほしいという願いを語り、「女性リーダーアカデミー2023」は修了しました。
様々な化学反応を起こし、団結力を堅固にしたWCA9期生たちは、明るく前向きな希望を手に、荒波に挑むWCAクルー(Crew)の一員になりました。