食物アレルギー

食物アレルギー
<中野、伊沢、安藤、北浦>

食物アレルギーとは、原因食物を摂取することで即時型アレルギー反応を引き起こすアレルギー疾患である。多臓器にアレルギー症状が現れると重篤で生命の危険を伴うアナフィラキシーとなる。日本国内の有症率は、乳幼児で5〜10%、学童以降が1.3〜4.5%とされており、現在のところ、食物アレルギーを完治させることのできる薬剤や治療法は存在しない。そこで我々は、安全で有効な薬剤や治療法の開発を目指し、主に食物アレルギーのマウスモデルを用いて基礎的な研究に取り組んでいる。
これまでに、食物アレルギーの発症の鍵となる腸管マスト細胞の分化にNotch受容体を介するシグナルが関与することを示し、このシグナル伝達を阻害することでアレルギー症状を軽減できることを明らかにした。また、食物アレルギーの治療法として近年注目されている経口免疫療法において、Notch受容体を介するシグナルが複数の免疫抑制性細胞の出現に関与すること、さらに、これらの細胞が原因食物に対する耐性の獲得に重要な働きをすることを、明らかにした。

Honjo A, Nakano N, et al., J Allergy Clin Immunol, 2017
Uchida S, et al., Allergy, 2020
Yoneyama T, Nakano N, et al., J Allergy Clin Immunol, 2021

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