TIGITとCD155

抗原特異的免疫寛容の誘導と維持
<根岸>

自己抗原やアレルゲンに対する抗原特異的な免疫寛容を誘導し、それを長期維持させることは臓器移植での拒絶反応の軽減や自己免疫疾患及びアレルギー疾患の予防、治療法開発に重要である。しかし、抗原特異的免疫寛容の誘導は免疫抑制機能を有するT細胞の抗原特異性、寿命や細胞内分子機構が未だ明確でないため、長期免疫寛容を成立させる治療法は十分に確立されていない。そこで、我々は“infectious tolerance(免疫寛容の伝承)”という概念に注目し、この抑制機能の伝承に重要な働きをする分子群の1つとしてTIGIT(T cell immunoreceptor with Ig and ITIM domains)を初めて同定した。現在、TIGITとそのレセプターであるCD155を軸に、T細胞の抑制機能の獲得と維持におけるTIGIT-CD155シグナルの重要性を明らかするため、CD155シグナル伝達下流でのTIGITの転写制御及びT細胞活性化抑制に関わる分子の探索を行なっている。