iPS細胞を用いたパーキンソン病の病態解明と創薬

研究内容

本学脳神経内科と共同で順天堂医院および関連病院などの患者さんから検体を採取し、iPS細胞を樹立してパーキンソン病モデルを作製・解析しています。

パーキンソン病の病態を改善させる治療薬探索システムを確立

家族性パーキンソン病患者由来のiPS細胞から作製したドーパミン神経細胞を用いた病態検出システムの自動化に成功し、一度に多くの薬剤スクリーニングを行うことを可能にしました。この結果としてiPS細胞の病態を改善させる4種類の化合物を同定しました。本研究ではさらに、このシステムで同定した薬剤がパーキンソン病モデル動物のショウジョウバエと一部の孤発性パーキンソン病患者由来細胞に対しても病態改善効果を持つことを確認しました。原因遺伝子と細胞での表現型が明らかである家族性症例の細胞を用いて同定した化合物が、原因不明で症例の大部分を占める孤発性症例由来の細胞でも効果があるという結果は、パーキンソン病に対するiPS細胞を用いた創薬の有用性を示しています。

Stem Cell Reports. 2020 Jun 9;14(6):1060-1075.
(2020.5.29 順天堂プレスリリース)
https://www.juntendo.ac.jp/news/20200529-01.html

新規に同定された家族性パーキンソン病のiPS細胞を用いた解析

神経学の服部信孝教授、波田野琢准教授、王子悠助教らと共同でライソゾーム病の原因となるプロサポシン遺伝子がパーキンソン病の発症に関わっていることを発見しました。今回の研究により、遺伝性パーキンソン病の患者におけるプロサポシン遺伝子のサポシンD領域に3種類の変異を新たに見出し、孤発性パーキンソン病の患者ではサポシンD領域に2種類の遺伝子多型が多いことが分かりました。そして、患者由来のiPS細胞をドパミン神経細胞に分化させたところ、パーキンソン病に特徴的なタンパク質であるαーシヌクレインの蓄積・凝集がみられました。さらに、患者と同じ遺伝子変異を持つマウスでは、パーキンソン病によく似た運動障害の症状を示しました。本成果はパーキンソン病の病態解明や新規治療法、新薬の開発に役立ち、疾患克服に向けて大きな一歩になる可能性があります。本成果は英科学雑誌Brain誌(2020年3月23日付)に掲載されました。
(2020.3.23 順天堂プレスリリース)
https://www.juntendo.ac.jp/news/20200323-01.html

・その他の研究実績

(スクリーニング)

iScience. 2020 May 22;23(5):101048.
J Neurochem. 2020 Oct;155(1):81-97.

(PARK22の解析)

Hum Mol Genet. 2019 Dec 1;28(23):3895-3911.

(PARK2の発症メカニズム)

Brain. 2019 Jun 1;142(6):1675-1689.
Hum Mol Genet. 2017 Aug 15;26(16):3172-3185.
Mol Brain. 2012 Oct 6;5:35.

(PARK9の発症メカニズム)

J Neurosci. 2019 Jul 17;39(29):5760-5772.

(パーキンソン病の新規治療薬)

Proc Natl Acad Sci U S A. 2018 Jun 19;115(25):E5815-E5823.