平成23年度~平成27年度
私立大学戦略的研究基盤形成支援事業研究成果報告書
研究テーマ「細胞・脳機能研究の融合による神経疾患診断・治療法開発拠点の形成」
順天堂大学老人性疾患病態・治療研究センター(老研センター)は、文部科学省「平成23年度私立大学戦略的研究基盤形成支援事業研究プロジェクト」に、「細胞・脳機能研究の融合による神経疾患診断・治療法開発拠点の形成予防・治療法開発の研究基盤構築」をテーマに応募し、採択されました。老人性疾患病態・治療研究センター(老研センター)では、これまで加齢性神経疾患、特にパーキンソン病(PD)、アルツハイマー病(AD)等で分子遺伝学的な研究実績を重ねてきました。この研究プロジェクトは5年間(平成23年度~27年度)の助成を得て研究を進めるもので、“神経疾患診断・治療法開発を推進するため、優れた臨床実績を生かした私立医系大学独自の基礎臨床連携を強化し、“細胞機能研究”と“画像・生理学的脳機能研究”を融合した新たな研究基盤センターを形成することを目的としています。
ミトコンドリア、タンパク質分解等、老化に深く関わる細胞機能の破綻と修復を疾患モデル動物で研究する。脳機能研究では疾患候補遺伝子と画像変化の関連や、SPECTやPETを用いた分子イメージングなどの、患者を対象とした知見を得る。
これらの臨床研究から、症状特異性の高い新たな遺伝子・標的分子を発見し、細胞機能研究の成果と融合させる。神経疾患の多くは未だ難病とされ、原因遺伝子が同定されつつあるものの、治療法が確立していない疾患も多い。本研究テーマの遂行により、これまでの単一遺伝子異常を治療する流れに加え、細胞機能障害を治療する新たな戦略的治療法の確立の一歩が待たれる。これは神経疾患の根治的薬物治療を目指すものである。
研究組織の紹介とこれまでの成果
【研究チーム構成】
[名 簿]
研究プロジェクトに参加する主な研究者
研究者名 | 所属・職名 | プロジェクトでの研究課題 | プロジェクトでの役割 |
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服部 信孝 | 大学院医学研究科 神経学 教授 | ミトコンドリア、ユビキチン・プロテアソームに着目したパーキンソン病の病態解明と治療戦略 | 細胞機能標的治療によるパーキンソン病の克服 |
内山 安男 | 大学院医学研究科 老人性疾患病態・治療研究センター 神経機能構造学 | オートファジー/リソソームによる神経回路網の品質管理とその破綻 | 神経疾患における神経回路網の品質管理異常と治療による正常化をイメージングで検証する |
櫻井 隆 | 大学院医学研究科 薬理学 | βアミロイド産生・分解調節系における細胞内輸送・神経活動依存性の解析 | βアミロイド産生・分解系の解析によりアルツハイマー病の病態解明と創薬標的探索を進める |
平澤 恵理 | 大学院医学研究科 老人性疾患病態治療研究センター 先任准教授 | 細胞外環境による細胞の分化・増殖の制御 | 細胞外マトリックス等の条件検討により脳疾患細胞治療に有利な細胞外環境を示す |
樋野 興夫 | 大学院医学研究科 病理・腫瘍学 教授 | 神経細胞の分化・移動・腫瘍化・幹細胞性 -特に結節性硬化症の原因遺伝子Tsc2を起点として- | Tsc2分子の研究成果を生かし神経細胞における腫瘍化と幹細胞性の維持機構を解明する |
新井 一 | 大学院医学研究科 脳神経外科学 | 脳腫瘍発生分子機構における神経細胞の腫瘍化と幹細胞性 | グリオーマをモデルとして神経細胞の幹細胞性のメカニズムを標的とした治療を開発する |
高久 智生 | 大学院医学研究科 血液学 | 骨髄幹細胞ニッチ環境研究による成体神経新生メカニズム | 骨髄幹細胞ニッチ環境の三次元可視化とその機能解明を行い、成体神経新生システムに応用する。 |
池田 勝久 | 大学院医学研究科 耳鼻咽喉科学 教授 | 骨髄幹細胞ニッチ環境研究による成体神経新生メカニズム | 骨髄幹細胞ニッチ環境の三次元可視化とその機能解明を行い、成体神経新生システム |
宇賀 貴紀 | 大学院医学研究科 神経生理学 先任准教授 | 多点電極を用いた神経活動記録法の整備 | モデル動物での神経ネットワークを可視化するため、多点電極を用いた神経活動記録法を整備する |
青木 茂樹 | 大学院医学研究科 放射線医学 教授 | 脳の加齢・認知・発達障害の可視化 新規画像診断法の確立 | 加齢・認知・発達障害による脳機能異常を示す新規画像解析法を開発する |
新井 平伊 | 大学院医学研究科 精神医学 教授 | アルツハイマー病の発症分子機構解明 | アルツハイマー病の発症分子機構を解明し、新規診断・治療技術を発展させる |
外部評価委員
田中 啓二 | 東京都臨床医学総合研究所 所長 |
長澤 丘司 | 京都大学 再生医科学研究所 教授 |
岡野 栄之 | 慶應義塾大学 医学部 生理学教室 教授 |
連携拠点図
研究プロジェクトチーム 各研究成果一覧(一般用・研究者用)
所属・職名 | 各研究プロジェクトの研究課題と研究成果 | ||
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神経学 | ミトコンドリア, ユビキチン・プロテアソームに着目したパーキンソン病の病態解明と治療戦略 | 研究成果 (一般用) | 研究成果 (研究者用) |
老人性疾患病態・治療研究センター 神経機能構造学 | オートファジー/リソソームによる神経回路網の品質管理とその破綻 | 研究成果 (一般用) | 研究成果 (研究者用) |
薬理学 | βアミロイド産生・分解調節系における細胞内輸送・神経活動依存性の解析 | 研究成果 (一般用) | 研究成果 (研究者用) |
老人性疾患病態・治療研究センター 老化・疾患生体制御学 | 細胞外環境による細胞の分化・増殖の制御 | 研究成果 (一般用) | 研究成果 (研究者用) |
病理・腫瘍学 | 神経細胞の分化・移動・腫瘍化・幹細胞性 -特に結節性硬化症の原因遺伝子Tsc2を起点として- | 研究成果 (一般用) | 研究成果 (研究者用) |
脳神経外科学 | 脳腫瘍発生分子機構における神経細胞の腫瘍化と幹細胞性 | 研究成果 (一般用) | 研究成果 (研究者用) |
血液学 | 骨髄幹細胞ニッチ環境研究による成体神経新生メカニズム | 研究成果 (一般用) | 研究成果 (研究者用) |
耳鼻咽喉科学 | 聴覚・平衡覚にかかわる細胞品質管理機構の正常とその破綻 | 研究成果 (一般用) | 研究成果 (研究者用) |
神経生理学 | 多点電極を用いた神経活動記録法の整備 | 研究成果 (一般用) | 研究成果 (研究者用) |
放射線医学 | 脳の加齢・認知・発達障害の可視化 新規画像診断法の確立 | 研究成果 (一般用) | 研究成果 (研究者用) |
精神医学 | アルツハイマー病の発症分子機構解明 | 研究成果 (一般用) | 研究成果 (研究者用) |