インフラマソーム構成分子 NLRP1

インフラマソーム構成分子
NLRP1(NLR family pyrin domain containing 1)
<安藤、伊沢、中野、北浦>

インフラマソームは外来性因子(病原体など)や内在性因子により活性化される細胞質内タンパク質複合体である。NLRP1(NLR family pyrin domain containing 1)はインフラマソーム構成分子の一つである。NLRP1、procaspase-1、ASCで構成されるインフラマソームはcaspase-1の活性化を介してIL-1β・IL-18の分泌やパイロトーシスと呼ばれるプログラム細胞死を誘導する。近年、自己炎症性疾患の原因としてNLRP1の遺伝子変異が同定されている。
我々は、肝臓線維化(肝硬変)・歯牙欠損・掌蹠角化症を有する稀少疾患患者由来DNAのエクソンシークエンスからNLRP1のde novo変異(NLRP1-Mt)を見出した。実際、293T細胞にNLRP1、ASC,pro-caspase-1、pro-IL-1βを一過性に発現させてIL-1βの産生量を測定する系において、NLRP1-Mtが著しく多量のIL-1β産生を誘導すること(図)、つまりNLRP-Mtがインフラマソームを強力に活性化すること、を明らかにした(Yasudo et al., Hepatology, 2021)。現在、NLRP1-Mtによるインフラマソーム活性化の分子機序及び本疾患の病態機序の解明を行っている。