環境医学研究所の開設にあたって

学校法人 順天堂 理事長
小川 秀興

この度、順天堂大学浦安病院の増床を行うに当たって、千葉県・浦安市から市民に直結した医療態勢充実の要請があり、女性特有の疾患や女性に圧倒的に多い疾患の診断や治療の施設を整えることとなりました。
 本学としては、これを機にこの千葉県の地に、性差を含めた環境と人間に関わる研究施設「環境医学研究所」の設置を計画し、平成14年度の文部科学省ハイテク・リサーチ・センター構想へ応募し採択して戴けることとなりました。
今回採択となりました「環境医学研究所」構想は、全国に数多くある遺伝子関連の研究所とは違い、近年社会問題となっている環境中の化学物質が、生体の内分泌機能に如何に影響しているか、また神経系や免疫システムへの影響等環境因子が、人間へ及ぼす影響を解析することを目的とした研究施設であります。
本構想においては、順天堂大学に於ける全臨床科と基礎科学部門の融合、研究所と病院の連携による研究成果の活用が直ちに治療現場に生かすことができる体制の研究施設として、本学や千葉県のみならず日本に於ける最先端研究施設として位置づけております。
環境医学研究所は、①環境因子(環境汚染物質)と生体反応プロジェクト、②疾患関連遺伝子の変異と環境因子プロジェクト、③性差医学と環境因子プロジェクト、の3つの研究開発プロジェクトからなっています。これらの研究開発をすることは、次世代のために我々に課せられた重要な使命と考え全順天堂を挙げて取り組む所存です。環境医学研究所では、環境要因の生体に及ぼす影響が疾患関連遺伝子の変異や性差にどの様な影響を与えるかを探索し、化学物質による環境汚染の健康影響への対処、性差に起因する疾患に与える環境因子の役割を検討して病態解明を行い、地球環境の改善を提言しつつ国際社会に貢献できるよう努力して参りたいと思います。