脳硬膜動静脈ろうに対する血管内治療

脳は3枚の膜(軟膜、クモ膜、硬膜)によって覆われています。この中で硬膜はもっとも厚く硬い膜で、頭蓋骨を裏打ちしています。この硬膜も体の一部なので動脈-毛細血管-静脈と言う血液の流れによって栄養を受けています。しかし、何からの理由で、硬膜で動脈と静脈が毛細血管を介さずにつながってしまった病気を「硬膜動静脈ろう」と言います(図13)。動脈の圧力(心臓から送り出される圧力)が、本来は圧力が低いはずの静脈(心臓に戻ろうとする圧力)に向かって流れてしまうために、脳が腫れ上がったり、脳梗塞や脳出血を起こしたりします。日本人では、中高年の女性で海綿静脈洞部と呼ばれる目の奥にあたる場所に多く発生し、物が二重に見えるようになったり、治りにくい目の充血などの症状が出ます。耳の後ろにある横・S状静脈洞部に発生すると、心拍に合わせて聞こえる激しい川の水が流れる音のような耳鳴りがして、うるさくて夜も眠れなくなりノイローゼ気味になります。治療は脳神経血管内治療が行われろうを閉塞します。動脈の方から治療する方法(経動脈的塞栓術)と静脈の方から治療する方法(経静脈的塞栓術)の2通りがあります。

脳硬膜動静脈瘻の放射線学的画像