脳動静脈奇形に対する血管内治療

出生の前、お母さんのお腹の中にいる最中に、脳の中で動脈と静脈が毛細血管を介さずナイダスと呼ばれる異常な血管の塊でつながってしまった病気を「脳動静脈奇形」と言います。高い圧力の動脈血が、直接的に本来低い圧力である静脈に注ぐ状態となり、このため静脈系には過大な圧がかかりますので、脳内出血やくも膜下出血などの頭蓋内出血を引き起こします。この他にけいれん発作も起こすことがあります。本来、周囲の脳を栄養すべき血液が脳動静脈奇形に吸い取られてしまうために、麻痺やしびれなどの脳虚血発作、認知機能の低下などを生じる場合もあります。脳動静脈奇形の治療は、開頭による摘出術、定位的放射線治療であるガンマナイフ、そして血管内治療を単独の方法で、あるいは組み合わせた方法で治療を行います。血管内治療では、主にマイクロカテーテルから液体の塞栓材料を流し込む方法を行います(図11A/B)。

脳動脈奇形塞栓術の放射線学的画像