「女性スポーツリーダーシップカンファレンス2015」開催報告
平成27年2月14日(土)、海外からのスピーカー、著名なパネリストの方々をお迎えし「女性スポーツリーダーシップカンファレンス2015」を開催しました。定員130名の会場が満席となり、会場に入りきれなかった方々には、別会場で聴講いただきました。
カンファレンスは、国際サッカー連盟(FIFA)第64回総会(2014年)において採択された「女子サッカー-発展のための10の重要方針(Women’s football – 10 key development principles)」の起案・採択の過程に携わったモヤ・ダッドさんからのビデオメッセージから始まりました。「10の重要方針」を採択するまでの過程を語り、その内容が解説されました。
ビデオメッセージ撮影のために、シドニーまでモヤ・ダッドさんを尋ねた第2部パネリストの小林美由紀さん(ジェフユナイテッド市原・千葉レディース マネージャー兼コーチ、アジアサッカー連盟マッチコミッショナー)は「女性が社会進出したといっても、なかなか意志決定者にはならず、サポートポジションでアドバイスをするだけ。監督は、チームの意思決定者となる。サポートポジションの人ではなく、意思決定者になる女性が増えなければならない」というモヤ・ダッドさんの言葉が印象的だった、と面談時のエピソードを披露しました。
第1部 情報提供
第1部では、まず、マーリーン・ビヨンズロッドさん(米国女性コーチアライアンス エグゼクティブディレクター)から、米国における「NCAA Woman Coaches Academy」のカリキュラムや運営の概要が紹介されました。コーチング職における女性の「声」と「存在感」を強めることを目的にこのアカデミーを主宰し、コーチ職に女性を留め、女性の数を増やす取組みを、全米大学競技スポーツ連盟(NCAA)等と協力しながら行っていることが語られました。
アニタ・ホワイト博士(初代国際女性スポーツワーキンググループ(IWG)共同議長、元スポーツイングランド開発局長、チチェスター大学客員教授)は、リーダーシップスキルを開発するためのユニークな学習環境の提供を目的に実施している、英国における「女性リーダーシップアカデミー(Women’s Sport Leadership Academy)」について、概要や現状況を紹介しました。女性スポーツリーダーシップアカデミーを設立するためのガイドラインについても、紹介いただきました。
第1部の最後に、カーリン・ロフストロムさん(カナダ女性スポーツ振興協会(CAAWS) エグゼクティブディレクター)のビデオ映像によるスピーチが流されました。当初、CAAWSのプログラムでは、影響力のある変化(Influential change)、コミュニケーション戦略 (Communication strategy)、コンフリクトマネジメント(Conflict management;対立・葛藤のマネジメント)の3つの内容を提案していましたが、のちに、ライフワークバランスとネットワーキングのプログラムが参加者のニーズにより追加されたという経緯と、その内容が説明されました。
これら海外のプログラムに共通していた項目は「自己の確立」「コミュニケーション力の向上」「スキルアップ」「ライフワークバランス」「男女の共生」「ネットワーキング」といった内容となっており、日本の「女性リーダーアカデミー(WCA)」設立に向けての貴重な情報提供となりました。
第2部 パネルディスカッション
第1部の内容を受け「スポーツ界における女性のコーチングを考える~必要なことは何か、日本での応用・実施の可能性~」と題して展開された第2部のパネルディスカッションは、素晴らしい経験、ビジョンをお持ちのパネリストから、参加者へ熱いエールを送る形となりました。
女性スポーツ研究センター副センター長であり、順天堂大学スポーツ健康科学部の鯉川なつえ先任准教授がコーディネーターを務め、パネリストの杉山芙沙子さん(一般社団法人次世代SMILE協会 代表理事、パーム・インターナショナル・テニス・アカデミー 校長)、杉山 愛さん(スポーツコメンテーター、元プロテニスプレーヤー)、ヨーコ・ゼッターランドさん(嘉悦大学女子バレーボール部 監督、スポーツコメンテーター)山下佐知子さん(第一生命保険株式会社女子陸上部 監督、バルセロナ五輪女子マラソン4位)、小林美由紀さん(ジェフユナイテッド市原・千葉レディース マネージャー兼コーチ、アジアサッカー連盟 マッチコミッショナー)の豪華な面々により、活発な意見交換がなされました。
女性スポーツ研究センター副センター長であり、順天堂大学スポーツ健康科学部の鯉川なつえ先任准教授がコーディネーターを務め、パネリストの杉山芙沙子さん(一般社団法人次世代SMILE協会 代表理事、パーム・インターナショナル・テニス・アカデミー 校長)、杉山 愛さん(スポーツコメンテーター、元プロテニスプレーヤー)、ヨーコ・ゼッターランドさん(嘉悦大学女子バレーボール部 監督、スポーツコメンテーター)山下佐知子さん(第一生命保険株式会社女子陸上部 監督、バルセロナ五輪女子マラソン4位)、小林美由紀さん(ジェフユナイテッド市原・千葉レディース マネージャー兼コーチ、アジアサッカー連盟 マッチコミッショナー)の豪華な面々により、活発な意見交換がなされました。
フロアから、各分野の専門家が情報提供してくださる場面もあり、熱気にあふれたパネルディスカッションとなりました。
※充実したパネルディスカッションを紹介したこちらのコラムをぜひご覧ください!
コラム『5年後の東京五輪・パラ そのとき女性コーチの姿は?』
※充実したパネルディスカッションを紹介したこちらのコラムをぜひご覧ください!
コラム『5年後の東京五輪・パラ そのとき女性コーチの姿は?』
発表「女性リーダーアカデミー(WCA)」概要
パネルディスカッション終了後、小笠原悦子センター長が日本における「女性リーダーアカデミー」の概要について発表しました。概要は以下の通りです。
「女性リーダーアカデミー」のカリキュラムの枠組みは、質の高いコーチ教育(トレーニング)の提供、科学的研究に基づく最新の女性のコーチング教材の提供、キャリア・ディベロップメントの援助、絆の強いネットワーク構築機会の提供、スポーツの枠を超えた国内外の組織からのメンターの提供などです。詳細については検討中ですが、欧米諸国で先行するプログラムを参考にしながら、日本のスポーツ文化、日本人女性の特性に即した内容を目指します。
また、スタート段階では女性の現役コーチ(特に大学レベルの女性コーチ)や指導者としてのポテンシャルが高い元トップアスリートを対象に、研究としての要素も含みつつ実験的に開始します。そして、最終的にはスポーツ(組織)におけるリーダーを目指す全ての女性を対象とするものに発展させる予定です。
アカデミーの初回となる「女性リーダーアカデミー2015」は、2015年9月15~17日(2泊3日)に軽井沢プリンスホテルで30名程度の参加者を募り開催する予定です。参加者資格は2015年5月1日に発表し、申込み開始は6月1日です。この発表を受け、カンファレンスの参加者から、早くも「ぜひ参加したい!」という声が上がりました。
また、日本財団パラリンピック研究会の小倉和夫会長は「障害者スポーツの方でも検討中である競技団体支援プログラムに、女性コーチの育成課題も含めたい。このアカデミーと協力していく予定である」と述べられました。
「女性リーダーアカデミー」のカリキュラムの枠組みは、質の高いコーチ教育(トレーニング)の提供、科学的研究に基づく最新の女性のコーチング教材の提供、キャリア・ディベロップメントの援助、絆の強いネットワーク構築機会の提供、スポーツの枠を超えた国内外の組織からのメンターの提供などです。詳細については検討中ですが、欧米諸国で先行するプログラムを参考にしながら、日本のスポーツ文化、日本人女性の特性に即した内容を目指します。
また、スタート段階では女性の現役コーチ(特に大学レベルの女性コーチ)や指導者としてのポテンシャルが高い元トップアスリートを対象に、研究としての要素も含みつつ実験的に開始します。そして、最終的にはスポーツ(組織)におけるリーダーを目指す全ての女性を対象とするものに発展させる予定です。
アカデミーの初回となる「女性リーダーアカデミー2015」は、2015年9月15~17日(2泊3日)に軽井沢プリンスホテルで30名程度の参加者を募り開催する予定です。参加者資格は2015年5月1日に発表し、申込み開始は6月1日です。この発表を受け、カンファレンスの参加者から、早くも「ぜひ参加したい!」という声が上がりました。
また、日本財団パラリンピック研究会の小倉和夫会長は「障害者スポーツの方でも検討中である競技団体支援プログラムに、女性コーチの育成課題も含めたい。このアカデミーと協力していく予定である」と述べられました。
最後に、女性スポーツ研究センターの小笠原悦子センター長が、ご多忙の中ご参加くださった参加者、素晴らしい発表をしてくださった海外スピーカー・パネリストの方々、完璧な同時通訳をされた2名の通訳者にお礼を申し上げ、カンファレンスを運営したスタッフをねぎらいました。
参加者、パネリストの方々から「すごく楽しかった!」「元気と勇気をもらった!」という多くの感想をいただきました。その言葉と表情には、日本において始まる新しいプロジェクトへの期待が込められていました。
参加者、パネリストの方々から「すごく楽しかった!」「元気と勇気をもらった!」という多くの感想をいただきました。その言葉と表情には、日本において始まる新しいプロジェクトへの期待が込められていました。
今回のカンファレンスでは、施設内に「託児ルーム」を設け、専門のスタッフを配置したため、小さいお子さんのいる女性コーチやスタッフにも、安心して参加いただくことができました。
フレンドリーネットワーク
カンファレンス終了後に、会場を変えて行われたフレンドリーネットワークでは、話し足りなかった仲間とのおしゃべり、初めて会う方との意外な共通点などについて、年齢、性別、組織を超えた交流が和やかに行われました。
第1部でスピーカーを務めたアニタ・ホワイト博士から「パワーのあるポジションに女性が増えるように、皆が力を合わせて頑張りましょう!世界が注目している今だからこそ、私たちができるということを証明しましょう!」というと、マーリーン・ビヨンズロッドさんも「情熱をもって、夢をもって、共に助け合い、力強く、世界を変えましょう!」と、参加者にエールを送りました。
最後に、参加者全員で「Go!Women!!!」という掛け声の一本締めを行い、終了となりました。
第1部でスピーカーを務めたアニタ・ホワイト博士から「パワーのあるポジションに女性が増えるように、皆が力を合わせて頑張りましょう!世界が注目している今だからこそ、私たちができるということを証明しましょう!」というと、マーリーン・ビヨンズロッドさんも「情熱をもって、夢をもって、共に助け合い、力強く、世界を変えましょう!」と、参加者にエールを送りました。
最後に、参加者全員で「Go!Women!!!」という掛け声の一本締めを行い、終了となりました。