「女性スポーツリーダーシップカンファレンス2017」開催報告
女性とスポーツの観点から、グローバルスタンダードや日本が目指すべきものについてディスカッションを行うため、平成29年4月9日(日)、「女性スポーツリーダーシップカンファレンス2017」を開催しました。
開会にあたり、スポーツ庁 木村徹也審議官より、スポーツ実施率、スポーツ団体における役員登用・スポーツ指導者、国際展開などの分野からスポーツ庁が実施している取組みについてご紹介がありました。そして、国内外に対し、女性スポーツ振興へのコミットメントを示すため、カンファレンスの翌日にあたる4月10日に「ブライトン・プラス・ヘルシンキ宣言」に署名することを決定したことを報告されました。関係団体と協力し、必要な諸施策を実現できるよう努力していくとし、来賓あいさつが締めくくられました。
女性とスポーツの振興をめざす、国際的な女性とスポーツに関する議論を深める唯一のワーキンググループである「国際女性スポーツワーキンググループ(IWG)」の委員らが、IWG年次会議出席のために来日していたため、IWG委員10名を含む、豪華で国際色豊かなカンファレンスとなりました。
女性とスポーツの振興をめざす、国際的な女性とスポーツに関する議論を深める唯一のワーキンググループである「国際女性スポーツワーキンググループ(IWG)」の委員らが、IWG年次会議出席のために来日していたため、IWG委員10名を含む、豪華で国際色豊かなカンファレンスとなりました。
挨拶
開会挨拶
女性スポーツ研究センター 小笠原悦子センター長
来賓挨拶
スポーツ庁 木村徹也審議官
スポーツ庁 木村徹也審議官
基調講演Ⅰ
まず、「世界から見た女性スポーツにおける日本への期待」と題して、IWG委員であり、ウィメンズスポーツ・インターナショナル元代表のカリ・ファスティング博士に基調講演をいただきました。女性とスポーツの世界的な動き・歴史を紹介し、そして、国連の条約、女性の人権と保護という枠組みを使って、「東京2020」に向け、さらに男女平等が推し進められ、真の変化をもたらす女性のリーダーシップが発揮されることが重要だと、熱いメッセージが伝えられました。また、女性スポーツ発展のための5つの提言として、「スポーツにおける男女平等の行動計画」、「暴力/ハラスメント」、「意思決定」、「コーチング/指導」、「メディア」をあげ、それぞれにおける「可視化された活動」について、具体的な提案をしていただきました。
参加者からは、「日本が遅れている点を含め、世界と日本の明らかな差がよく理解できた」「日本の女性スポーツに対する世界の期待感が非常に高いことが理解できた」といった声が上がり、女性とスポーツのグローバルスタンダードに触れる貴重な機会となったことが伺えました。
そして、最後に、「コミットメントを明確にすることも重要だ」と語り、日本の主要なスポーツ組織が「ブライトン+ヘルシンキ2014宣言」に署名する(2017年4月10日、本カンファレンスの翌日に署名)ことに対して、「これを機に、日本におけるさらなる女性スポーツの発展を期待する」と締めくくられました。
参加者からは、「日本が遅れている点を含め、世界と日本の明らかな差がよく理解できた」「日本の女性スポーツに対する世界の期待感が非常に高いことが理解できた」といった声が上がり、女性とスポーツのグローバルスタンダードに触れる貴重な機会となったことが伺えました。
そして、最後に、「コミットメントを明確にすることも重要だ」と語り、日本の主要なスポーツ組織が「ブライトン+ヘルシンキ2014宣言」に署名する(2017年4月10日、本カンファレンスの翌日に署名)ことに対して、「これを機に、日本におけるさらなる女性スポーツの発展を期待する」と締めくくられました。
基調講演Ⅱ
次に、IWG元共同議長のライア・イサロ・マティラさんから、「ブライトン+ヘルシンキ2014 ~世界女性スポーツ会議のレガシー~」と題し、基調講演を行っていただきました。第1回世界女性スポーツ会議(1994年、イギリス開催)の決議文である「ブライトン宣言」から20年目となった第6回世界女性スポーツ会議(フィンランド開催)は“LEAD THE CHANGE BE THE CHANGE(変化をおこし、その原動力になろう)”をテーマに開催されたことが紹介され、第6回会議では、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長、国際パラリンピック委員会(IPC)のクレイヴァン会長がスピーチを行うなど、組織間の垣根を超えた歴史的会議となったことが伝えられました。そして、第1回会議の決議文である「ブライトン宣言」を加筆、アップデートし、2020年までに意思決定権があるポジションの40%を女性にするべきだという提言を含む「ブライトン・プラス・ヘルシンキ2014宣言」が採択された経緯を語りました。ライア・イサロ・マティラさんは、女性が様々なスポーツ領域に参画し、日常生活や学校スポーツなどにおいても、女性のエンパワーメントをもっと進めていくべきだと世界中に発信した会議だったと振り返りました。
参加者からは、「私自身が“変化をおこし、その原動力になりたい”と思った。私が関わる女の子たちに“私はできる、そして変われる”と伝えていきたい」、「たくさんの国が取組みを行っていることを知り、スポーツ界における女性の活躍の可能性を感じた」など、前向きな感想が聞かれました。
そして、最後に、ライア・イサロ・マティラさんは「女性ならではの経験や知識、価値観が、これからのスポーツムーブメントを前進させるのです!」と、力強く語りました。
参加者からは、「私自身が“変化をおこし、その原動力になりたい”と思った。私が関わる女の子たちに“私はできる、そして変われる”と伝えていきたい」、「たくさんの国が取組みを行っていることを知り、スポーツ界における女性の活躍の可能性を感じた」など、前向きな感想が聞かれました。
そして、最後に、ライア・イサロ・マティラさんは「女性ならではの経験や知識、価値観が、これからのスポーツムーブメントを前進させるのです!」と、力強く語りました。
基調講演Ⅲ
IWG共同議長のルース・マホリサさんには、「女性リーダーシップ 大胆になって変化を起こせ」というタイトルで基調講演をしていただきました。女性がエンパワーメントを発揮することで、仕事の効率性が高まり、社会に大きなメリットを与えることができると語ったルース・マホリサさん自身も、これまで男性中心社会の影響を受けてきましたが、それを壁として言い訳してはいけないと立ち上がったことを語ってくれました。自分たちの意思を持ち、女性もリーダーシップを発揮して、自分たちが必要な変化を生み出すことができるはずだ、と熱く訴えました。
最後に、ルース・マホリサさんは、日本におけるスポーツのリーダーとして、また女性の真のリーダーとして、一緒にポテンシャルを発揮していきましょう、と呼びかけました。
最後に、ルース・マホリサさんは、日本におけるスポーツのリーダーとして、また女性の真のリーダーとして、一緒にポテンシャルを発揮していきましょう、と呼びかけました。
講演
本カンファレンスの講師としては唯一の日本人となった筑波大学の山口 香准教授からは、「女性スポーツで日本が目指す未来 ~“東京2020”までに~」というタイトルで講演いただきました。日本のジェンダーギャップ指数は144か国中111位と世界的にも低いことを指摘し、また、フルタイム勤務の女性の62%が1週間に20時間以上の家事をしている現状が伝えられました。日本の女性は、仕事・家庭の両方で活躍が求められているという状況に、参加者の多くが大きくうなずきました。また、スポーツ界における女性アスリートの活躍が著しいなか、女性コーチ、リーダーがまだまだ少ない状況に触れ、日本オリンピック委員会(JOC)傘下の62団体のうち、女性役員を置いていない団体が9つあるという現状を訴えました。山口香先生は「ひとりの女性コーチ・リーダーの決定が、今後の女性スポーツの未来を左右します。一人ひとりがスポーツ界をリードしてください」と女性コーチ・リーダーたちに力強いエールを送りました。
参加者からは、「スポーツ界だけでなく、日本の社会全体から物事を捉えた視点は、とても重要だと感じた」「2020年を目指すことが直近の目標、その後の成長戦略についても継続していくことが重要だと思う。その中での女性の役割、価値、変革の必要性を強く感じた」といった頼もしい感想が聞かれました。
スポーツは、成功体験を得られたり、考える力を育んだり、仲間と様々なことを共有して互いに高め合うことができる力を持っています。山口香先生は、「スポーツを通じて、社会の課題をいかに克服できるか?を考えることが重要で、スポーツから女性の課題にアプローチしていくことはたくさんあると信じている」と締めくくりました。
参加者からは、「スポーツ界だけでなく、日本の社会全体から物事を捉えた視点は、とても重要だと感じた」「2020年を目指すことが直近の目標、その後の成長戦略についても継続していくことが重要だと思う。その中での女性の役割、価値、変革の必要性を強く感じた」といった頼もしい感想が聞かれました。
スポーツは、成功体験を得られたり、考える力を育んだり、仲間と様々なことを共有して互いに高め合うことができる力を持っています。山口香先生は、「スポーツを通じて、社会の課題をいかに克服できるか?を考えることが重要で、スポーツから女性の課題にアプローチしていくことはたくさんあると信じている」と締めくくりました。
グループディスカッション・発表、全体ディスカッション(意見交換・質疑応答)
カンファレンス後半は、2つのグループに分かれたディスカッションが展開されました。ディスカッショングループは以下の通りに分けられ、それぞれ、参加したいグループに参加する形となりました。
A:インターナショナルグループ「国際的な視野からみた女性とスポーツのレガシー」
ファシリテーター:リラマニ・デ・ソイサ先生(IWG特別メンバー、筑波大学❝TIAS❞国際関係担当)
B:ナショナルグループ 「日本・地域的視野からみた女性とスポーツのレガシー」
ファシリテーター:山口理恵子先生(城西大学 准教授)
それぞれのグループでは、ファシリテーターの進行のもと、活発なディスカッションが行われました。インターナショナルグループからは、「異なるバックグラウンドを持った人達が、同じ思いを持って対話をすることの重要性を感じた」「何故、女性リーダーが必要であるかを改めて考え直すきっかけとなった」などの感想が、また、ナショナルグループからは、「幅広い意見、価値観を共有できたことが印象的だった」「自分の立ち位置を踏まえてできることを積み重ねていくことが、後世のリーダー育成につながっていくのかなと感じることができた」といった感想が聞かれました。
A:インターナショナルグループ「国際的な視野からみた女性とスポーツのレガシー」
ファシリテーター:リラマニ・デ・ソイサ先生(IWG特別メンバー、筑波大学❝TIAS❞国際関係担当)
B:ナショナルグループ 「日本・地域的視野からみた女性とスポーツのレガシー」
ファシリテーター:山口理恵子先生(城西大学 准教授)
それぞれのグループでは、ファシリテーターの進行のもと、活発なディスカッションが行われました。インターナショナルグループからは、「異なるバックグラウンドを持った人達が、同じ思いを持って対話をすることの重要性を感じた」「何故、女性リーダーが必要であるかを改めて考え直すきっかけとなった」などの感想が、また、ナショナルグループからは、「幅広い意見、価値観を共有できたことが印象的だった」「自分の立ち位置を踏まえてできることを積み重ねていくことが、後世のリーダー育成につながっていくのかなと感じることができた」といった感想が聞かれました。
ファシリテーター リラマニ・デ・ソイサ先生
ファシリテーター 山口理恵子先生
その後、それぞれのグループで話し合った内容がファシリテーターより発表されました。
全体ディスカッションでは、参加者から出された質問に対し、IWG委員などから課題解決のためのたくさんのヒントが提供され、活発な全体ディスカッションとなりました。
「第7回世界女性スポーツ会議」のご紹介
2018年5月にボツワナで開催される「第7回世界女性スポーツ会議」について、IWG事務局長のハミ・モチビさんが会議の概要を説明しました。第7回会議のテーマは“Determine the future. Be Part of the Change(未来を決定し、変化の一部となれ!)”となっています。会議以外では、魅力あるアフリカの自然に触れることができるサファリツアーなどについても紹介し、「ぜひ、ボツワナに来てください!」と第7回会議への参加を呼びかけました。
託児
今回のカンファレンスでも、施設内に「託児ルーム」を設け、専門のスタッフを配置したため、小さいお子さんのいる参加者にも、安心してご参加いただくことができました。