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「女子アスリート ボディイメージ サポートセミナー」報告

イベント

2025.03.04

世界初となる試みを、日本で開催!

2月11日(火・祝)13:30より、順天堂大学本郷・お茶の水キャンパス内「有山登メモリアルホール」において、「女子アスリート ボディイメージ サポートセミナー」を開催しました。

女の子たちがボディイメージの悩みからスポーツをやめてしまうことがないようにするための世界的な取り組みである「ボディ・コンフィデント・スポーツ(Body Confident Sport;以下BCS)」。このBCSの取り組みに関し、研究ベースでイベントを開催するのは世界初(※)の試みとなります。

本セミナーでは、BCSを研究の段階から先導してこられた世界的専門家を招き、2つのレクチャーが行われました。その後、科学的根拠に基づき開発されたBCSのコーチング・ツールを日本の研究者が解説しながらグループワークが行われ、その活用法を学びました。

参加者全員が事前にBCS教育プログラムを実施し、その前後でアンケート調査にご協力いただいた上でセミナーに参加するという状況は「世界初」

【Body Confident Sport program (ボディ・コンフィデント・スポーツ・プログラム)】

スポーツは、女の子の人生において大きな力となれるにもかかわらず、世界では10代の女の子の45%がスポーツをやめてしまいます。この割合は男の子の2倍にあたります。その理由の一つとして、ボディコンフィデンスの低さが挙げられます。ボディコンフィデンスとは、「身体への自信」という意味です。自分の身体、すなわち自分自身に誇りを持つことを指します。
自尊心とボディコンフィデンスを育む教育を提供する世界最大の組織であるDoveは、アスリートとスポーツ界から絶大な支持を受けるNikeと協力し、何百万人もの女の子たちが自信を持ち、スポーツの場を自分の居場所であると感じられるように「ボディ・コンフィデント・スポーツ・プログラム」を立ち上げました。
BCSは、11~17歳の女の子たちにボディコンフィデンスを養うための、科学的に証明された世界初のコーチング・ツールです。 このツールは、DoveとNikeが、「Centre for Appearance Research」および「Tucker Center for Research on Girls & Women in Sport」と共同開発し、フランス、インド、日本、メキシコ、イギリス、アメリカの6か国の女の子たちとコーチの意見を取り入れています。スポーツを通じて女の子たちのボディコンフィデンス、ボディイメージ、自尊心を高めるために必要な教材をコーチに提供しています。

女の子が楽しくスポーツを継続できるように

参加者は事前課題を取り組んでからセミナーに臨むという、これまでにない参加形式でしたが、約60名の方々が参加し、今回のテーマへの関心の高さがうかがえました。本セミナーは、あらゆるジェンダーアイデンティティを持つ女の子や若者が、安心して活動し、スポーツに参加できる環境を目指して開催されました。女子アスリートに関わるリーダー・コーチ、サポートスタッフ、教育関係者および保護者らが集い、活発な質疑応答、意見交換が行われました。

開会の挨拶では、女性スポーツ研究センター副センター長の鯉川なつえ先生が登壇し、セミナー開催の経緯や目的について語り、セミナーがスタートしました。

エミリー・マセソン博士
(クリニカル&プロジェクト スペシャリスト /
Everybody Consulting アソシエイトコンサルタント)

 Lecture 1:  
 Psychological impact of body image(ボディイメージの心理的影響) 

クリニカル&プロジェクトのスペシャリストであり、外見の多様性やメンタルヘルスの分野で世界的に有名なコンサルティンググループ「Everybody Consulting」のアソシエイトコンサルタントとして活躍するエミリー先生は、まず“ボディイメージ”の定義について解説しました。
そして、スポーツの分野におけるグローバルボディイメージプロジェクト「スポーツをする女子のためのグローバルボディコンフィデントプログラム」の開発チームを率いた経験を語り、スポーツにおけるボディイメージの懸念、女の子たちをどうサポートできるかについて説きました。

ニコル・ラボイ博士
(ミネソタ大学キネシオロジー学部シニア講師 /
Tucker Center センター長)

 Lecture 2:  
 What can coach do? (コーチには何ができるのか?) 

本センター主催の「女性リーダーアカデミー(WCA)」および米国NCAAのWCAの両方でコーチングに関する講義を行っているニコル・ラボイ先生には、コーチとしてこの現状に立ち向かうためのアイディアなどをレクチャーいただきました。
「BCS」の共同開発者であり、長年テニスの現場でプロフェッショナルコーチとして指導してきた彼女の言葉に、参加者らも大いに共感。
さらに、容姿を話題にする“ボディ・トーク”についての認識を深めるためのデモンストレーションでは、エミリー先生も加わって、ネガティブなボディ・トークへの対処法を実践しました。そして、身体に対して「どう見えるかではなく、何ができるかにフォーカスしてほしい」と考え方の転換を促しました。

質疑応答では、指導のなかでボディ・トークをしてしまったのではないかという懸念・不安や、様々な場面でのボディ・トークへの対応など、現場で直面している課題について多くの質問が寄せられ、二人の講師から的確なアドバイスが送られました。

「BCS」をより理解し、実践するために

続いて行われた「BCSの実践」と題したグループワークでは、講師の三倉 茜先生より、まず、「BCS」プログラムの前提として、アスリートを成功に導くためにフィールド内外でかかわっている様々な立場のすべての大人を“コーチ”と定義している、つまり今セミナーに参加している誰もがコーチであることが、説明されました。

そして、すべてのコーチが女の子のボディコンフィデンスを高める上で重要な役割を果たすことを覚えておいてほしいと話し、グループワークへと移りました。

「BCS」には、コーチを対象にした「Body Confident コーチング」と、アスリートが学ぶ「Body Confident アスリート」のプログラムがあり、今回のグループワークでは、参加者がアスリートの立場になってプログラムを体験してもらい、実際のスポーツ現場で「BCS」をコーチとして実践できるようにと構成されました。グループワークでは、ディスカッションやロールプレイによってBCS実践を体得していきました。

最後に、三倉先生から、「身体の“声”に耳を傾けることが、アスリートはもちろんコーチにも重要であること、そして、ボディ・トークの弊害をアスリートにぜひ伝えてほしい」と参加者へのメッセージが伝えられ、セッションを終了しました。

閉会にあたり、小笠原悦子センター長から、本セミナーが日本初でなく世界初となる「BCS」のイベントであったこと、参加していただいたことへの感謝が参加者に伝えられました。そして、「ここがまずはスタート。皆さんが正直に感じたことを皆さんの周りにフィードバックしていただきたい」と語り、初の試みであった本セミナーは盛会のうちに終了しました。

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