「女性スポーツ研究センター 国際シンポジウム2018」開催報告
2014年の開設から、“女性アスリートのコンディション管理に関する研究基盤構築”をテーマに、医学研究科とスポーツ健康科学研究科のコラボレーションによる研究を推進してきた女性スポーツ研究センターは、開設5年目という節目にあたる今年、海外の女性スポーツの専門家を招聘し、2018年9月15日(土)に国際シンポジウムを開催しました。
開会挨拶 Opening Address
女性スポーツ研究センター 副センター長
順天堂大学大学院医学研究科 老人性疾患病態・治療研究センター
平澤恵理 教授
順天堂大学大学院医学研究科 老人性疾患病態・治療研究センター
平澤恵理 教授
今年度より、女性スポーツ研究センターの3人目の副センター長に就任した平澤恵理先生(順天堂大学大学院医学研究科 老人性疾患病態・治療研究センター 教授)より「女性スポーツに関する研究等で世界的にご活躍されているお二人の先生を招聘し、女性スポーツ研究センターの記念すべき国際シンポジウムを開催できることは大変光栄です。さらなる発展を目指して、熱いディスカッションが行われることを期待します」とご挨拶しました。
基調講演Ⅰ Keynote Speech I
まずは、ミネソタ大学タッカーセンターのニコル・ラボイ センター長より、「タッカーセンターの歩みと女性スポーツ研究センター(JCRWS)への期待」と題し、基調講演をいただきました。タッカーセンターは世界で初めての女性スポーツに関する研究を行う研究組織であり、順天堂大学の女性スポーツ研究センターのモデルにもなっています。
タッカーセンターは、研究、教育、啓発の3つの柱を持っており、研究を実践に活かすこと、次世代の研究者を育てることに力を入れています。そのため、大学院生が有給のインターンとしてタッカーセンターで働き、経験を積むことができるのです。また、「She Can Coach」というキャンペーンを実施し、女性が指導者になることへのプラスのメッセージを発信しているそうです。
スポーツにおいて「女性」は重要な存在です。研究とプロジェクトをしっかり実施し、これからも「タッカーセンターとJCRWSは“姉妹”のように連携していきたい」と語ってくださいました。
タッカーセンターは、研究、教育、啓発の3つの柱を持っており、研究を実践に活かすこと、次世代の研究者を育てることに力を入れています。そのため、大学院生が有給のインターンとしてタッカーセンターで働き、経験を積むことができるのです。また、「She Can Coach」というキャンペーンを実施し、女性が指導者になることへのプラスのメッセージを発信しているそうです。
スポーツにおいて「女性」は重要な存在です。研究とプロジェクトをしっかり実施し、これからも「タッカーセンターとJCRWSは“姉妹”のように連携していきたい」と語ってくださいました。
ニコル・ラボイ 先生
ミネソタ大学 タッカーセンター センター長
ミネソタ大学 タッカーセンター センター長
基調講演Ⅱ Keynote Speech II
サラ・マレイ 先生
Women Win グローバル促進ディレクター
Women Win グローバル促進ディレクター
続いて、Women Winのグローバル促進ディレクターであるサラ・マレイさんに、「Women Winとは? ~調査と実践から築いた実績~」と題して基調講演を行っていただきました。Women Winは世界中に広がるパートナーと協働しながら、特に思春期の少女のエンパワーメントを、スポーツプログラムを用いて実施するNGO団体です。国際競技大会を活用した国際スポーツ団体や国連機関との連携はさることながら、民間セクターや社会活動セクターとも連携しています。多くの組織と連携するためには、客観的なデータを用いて説得することもあるようです。
Women Winは、少女のスポーツ参加の拡大だけにとどまらず、少女たちがよりよく生きる知識や術を身に付け、安全に安心して暮らせる社会の創出を目指しています。「日本は東京2020も控えており、大変ポテンシャルがある」と述べた後に、「日本にも、スポーツを通じて国際的なジェンダー課題に取り組む組織ができてほしい。そしてJCRWSのアクションと連携を図っていきたい」というメッセージをいただきました。
Women Winは、少女のスポーツ参加の拡大だけにとどまらず、少女たちがよりよく生きる知識や術を身に付け、安全に安心して暮らせる社会の創出を目指しています。「日本は東京2020も控えており、大変ポテンシャルがある」と述べた後に、「日本にも、スポーツを通じて国際的なジェンダー課題に取り組む組織ができてほしい。そしてJCRWSのアクションと連携を図っていきたい」というメッセージをいただきました。
パネルディスカッション・研究報告 Panel discussion
「女性スポーツの発展を目指して ~スポーツ界における女性スポーツ研究センターの役割」をテーマに、本センターの研究に尽力されてきた各分野の専門家によるパネルディスカッションが行われました。
ファシリテーター:
鯉川なつえ(女性スポーツ研究センター 副センター長、順天堂大学スポーツ健康科学部 先任准教授)
パネリスト:
北出 真理(女性スポーツ研究センター 副センター長、
順天堂大学大学院医学研究科・産婦人科学 教授)
柿木 亮 (順天堂大学医学部・生理学第二講座 助教)
福 典之 (順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科 スポーツ健康医科学研究所 先任准教授)
小笠原悦子(女性スポーツ研究センター センター長、
順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科 教授)
ファシリテーター:
鯉川なつえ(女性スポーツ研究センター 副センター長、順天堂大学スポーツ健康科学部 先任准教授)
パネリスト:
北出 真理(女性スポーツ研究センター 副センター長、
順天堂大学大学院医学研究科・産婦人科学 教授)
柿木 亮 (順天堂大学医学部・生理学第二講座 助教)
福 典之 (順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科 スポーツ健康医科学研究所 先任准教授)
小笠原悦子(女性スポーツ研究センター センター長、
順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科 教授)
北出真理副センター長らが進めるチーム1「月経調整とコンディション管理プログラム開発研究」についての研究報告からスタートし、続いて、柿木亮先生によるチーム2「月経周期を考慮したトレーニングの至適負荷条件研究」、福典之先生よるチーム3「エネルギー産生とトレーニングの関係性解明研究」について、それぞれの研究報告をしていただきました。最後に小笠原悦子センター長よるチーム4「女性アスリートのコーチング法開発研究」の研究報告をしていただくと、これまで各研究チームが実施してきた研究の内容や成果についての理解が一気に深まりました。
ファシリテーターの鯉川なつえ副センター長より、本センターのそれぞれの研究チームに関わる学内外の研究者は4年間で80名程に増えたこと、また、女性スポーツをキーワードに多方面に渡る研究を実施してきた実績、また、省庁の委託事業の受託研究、企業との共同研究の実績についても紹介されました。
その後、「女性スポーツ研究センターのこれからの5年に向けて」と題したディスカッションが繰り広げられ、それぞれの研究チームの代表から、研究という側面から自分たちが果たす役割、研究の具体的な今後の展開などが熱く語られました。
女性スポーツ研究センターで実施している研究全体を取り扱った初めての国際シンポジウムでしたが、地道に行われている臨床研究などについても紹介され、講師、研究者、参加者らの間で情報共有が行われ、大変活発なディスカッションとなりました。
チーム1
北出真理 教授
北出真理 教授
チーム2
柿木亮 助教
柿木亮 助教
チーム3
福典之 先任准教授
福典之 先任准教授
チーム4
小笠原悦子 教授
小笠原悦子 教授
ポスター発表 Poster Session
女性スポーツ研究センターでは、これまで、年度ごとに研究成果報告会(口頭発表)を開催し、研究者間の情報共有を図ってきました。今回、初めての試みとなる「ポスター発表」形式での研究成果報告・公表となりましたが、国内外の研究者、参加者らと活発な意見交換が実現しました。
女性スポーツ研究センター制作物 Products Created by JCRWS
会場内では、本センターの研究によって製作された印刷物などを卓上に展示しました。毎年必ず制作物を作成し、多くの女性アスリート、指導者、保護者等のお役にたてていただいています。