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「女性スポーツ研究センター10周年記念国際シンポジウム」ご報告

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2024.11.20

JCRWS設立10周年を記念し国際シンポジウムを開催

11月2日(土)、今年設立10周年を迎えたことを記念し、順天堂大学本郷・お茶の水キャンパス内の小川秀興講堂において、「女性スポーツ研究センター10周年記念国際シンポジウムを開催しました。
当日はあいにくの悪天候ながら、会場には、女性スポーツに関心を寄せる一般参加者をはじめ、女性スポーツ研究センターの研究者、本センターをこれまでサポートしてくださった関係者など、100名を超える皆様にお越しいただきました。
開会にあたり、まずは順天堂大学の代田浩之学長よりご挨拶をいただき、国際シンポジウムの幕が上がりました。

第1部

女性スポーツ研究センター 小笠原悦子センター長

JCRWSの歩みとこれからの展望
第1部では、女性スポーツ研究センターが、順天堂大学内に設立された2014年8月からの活動および日本国内における女性スポーツの変遷をたどり、更なる研究・普及啓発活動を推し進めていくことを提言しました。
最初に、今回の主催者女性スポーツ研究センター(JCRWS)の小笠原悦子センター長より、「JCRWSの10年間の軌跡と研究成果報告」と題し、これまでに行った取り組みや成果について振り返っていきました。そして今後、JCRWSとしては、日本国内はもちろんのこと、国際的な女性スポーツ推進機関(IWG等)と協力し、更に研究・普及啓発活動を推進していきたいと力強く話しました。

基調講演1を行った中京大学スポーツ科学部 來田享子教授

基調講演1 「スポーツにおける女性のリーダーシップ ー日本の現状と課題ー」
今回、講師としてお招きしたのは、「スポーツ史」「オリンピック教育」「スポーツとジェンダー」を専門分野として、中京大学で教鞭を振るわれている來田享子教授。
日本のスポーツ界における女性リーダーの現状を紹介し、女性のリーダーシップ育成における日本の課題を解説。その課題改善のためには何が必要とされるか、いくつかの提言を示しました。そして最後に、スポーツでは“失敗は成長へのチャンス”というように「現在の遅れている状況をチャンスと捉え、思い切った挑戦をすることが求められているのではないか」と語りかけました。

パネルディショカッション 「スポーツにおける女性のリーダーシップ ~教育と研究の国際的な視点から~」
鯉川なつえ副センター長をコーディネーターに、基調講演をしてくださった來田享子教授をはじめ、JCRWSが2015年から実施する「女性リーダーアカデミー(WCA)」で講師を務めてくださっているマーリーン・ビヨンズロッド先生、エリザベス・メイソン先生、羽石架苗先生の4名をパネリストに迎え、“女性のリーダーシップ”について議論を交わしました。
さらに、それぞれの立場から女性コーチ・リーダーにまつわる情報を共有いただき、日本と海外での違いについても話し合いました。
最後に、鯉川副センター長が「私たちJCRWSは、これからも、女性リーダーアカデミーを通して、日本のスポーツ界における女性のリーダーシップを前進させることに全力を注いでまいります」と宣言すると、会場からは大きな拍手が起こりました。

第2部

女性スポーツ研究センター 桜間裕子特任准教授

女性スポーツにおけるムーブメントとは
第2部は、女性とスポーツに関して国際的視野で議論を深め活動する唯一の組織「国際女性スポーツワーキンググループ(以下IWG)」のメンバーをお招きし、グローバルスタンダードや日本が目指すべきものについて激論を交わします。
まずは、世界と日本で起こった「女性スポーツにおけるムーブメント」について、桜間裕子特任准教授より紹介をさせていただきました。「男性優位のスポーツ界を変えたい!」と世界各国の女性たちが立ち上がり、アクションを起こしてから今日までの足跡を改めてたどったことで、このあとの基調講演やディスカッションにおいて、女性スポーツのどんな未来が語られるのか、期待が大きく膨らみました。

基調講演2で登壇した
アナマリー・フェルプスIWG共同議長

基調講演2 「女性スポーツにおける近年のムーブメントと第9回IWGグローバルサミット」
1994年5月、イギリスのブライトンにおいて、各国のスポーツ関係者280人が集まり、女性とスポーツに関する初の国際会議「第1回世界女性スポーツ会議」が行われ、会議のあとに作られたのが「国際女性スポーツワーキンググループ(通称:IWG)」。
第2部の基調講演では、IWGよりアナマリー・フェルプス共同議長にご登壇いただき、すべての女性と少女が活躍できる世界の実現に向けたIWGのビジョンやミッション、女性のリーダーシップに対する世界の意識など、グローバルな視点でお話しいただきました。
次回、第9回となる同会議は名称を「IWGグローバルサミット」と改め、2026年7月9-11日に開催しますが、世界各国から1,200人を超える上級幹部職員および政策立案者がイギリスに参集する予定です。確実に規模が大きくなっている本会議では、IWGが今後、世界の女性スポーツにどのような革新をもたらすのかに注目が集まっています。

スポーツ界で起きた女性スポーツの世界的ムーブメント ~ACTION NOW!~
続いて、「スポーツ界で起きた女性スポーツの世界的ムーブメント」をテーマに、パネルディスカッションを展開しました。
コーディネーターを務めるリサ・オキーフ先生は、前職のSport Englandにおいて、女性スポーツ施策の取り組みの1つ「This Girl Can」キャンペーンを世界的な成功に導かれた立役者。JCRWS主催WCAの講師としてもレクチャーいただいており、2022年よりIWG事務局長としてその手腕を発揮されています。
パネリストには、IWGアジア代表である小笠原センター長ほか、世界各地から来日されたIWGのGlobal Executive(グローバル・エグゼクティブ)の皆様が顔を揃え、女性スポーツのグローバルスタンダードや日本が目指すべきものについてディスカッションを行いました。
最後にリサ・オキーフ氏から総括を求められた小笠原センター長は、「日本は、スポーツ界において、競技ではメダルを獲り、五輪を開催し、世界的なポジションは高いというイメージがあります。しかしながら、ジェンダーギャップという面では、先進国の中で順位が大変低く、大きなギャップがあります。この状況を解決するためには、どのようにすれば誰もがリスペクトしてくれる日本になれるのかについて、インターナショナルな仲間たちが説明をしてくれることで、日本を変えることができるのではないかと信じています。我々はこれからも努力していきたいと思いますので、どうぞ皆さんのお力をお貸しください」と締めくくりました。会場からは、JCRWSへの期待を込めた大きな拍手が起こりました。

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